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閑話とある王子のお話


私の名前は、アイン・エルライド。エルライド王国の王子である。

少し前までは、次期国王、最有力候補と言われていた。

それが、この様。

現在、王都はクーデターが起こり、妹である、アリエルが王座に座っている。

アリエルがクーデターを起こした時、血迷ったただの馬鹿だと思った。

第2王女ステファニー派の戦力はだいぶ衰えている。

つまり、アリエルが逆賊として討たれるのを待つだけで、自分は自動的に王になれるはずだった。

どうして、こうなった?

それしか言えない。

まさか、アリエルの陣営にあんな化け物がついているなんて誰が予想つくだろう。

あれは、おそらく魔王だ。

アリエルは、悪魔に魂を売ったのだ。

ならば、目に目をだ。


アインの前にいるのは、2人の化け物。

魔王順位21位、オーガの魔王、アムド・ラース。

魔王順位22位、ゴブリンの魔王、アルド・ラース

この2人は兄弟である。

この2人は、13魔王には敵わないが、2人で力を合わせれば、野良魔王程度なら倒せる実力を持つ。

前に、魔王順位19位、妖精魔王フィリア・アースをあと一歩のところまで追い詰めたが、逃げられた事があるらしい。

彼等が自分に求めるのは、自分が王になった時の重要ポストだが、そんな事は、アリエルを王座から落とせばどうでもいい。


アインは、王座を奪われた怒りで、完全に自分を見失っていた。


「俺らに任せろ。俺らがあんたを王にしてやるよ。なあ?弟よ?」


「任せてよ兄ちゃん。僕の魔法と兄ちゃんの近接の同時攻撃に勝てる野良魔王なんかいないよ?フィリアの時もよゆーだったじゃん?」


「その通りだ。弟よ。野良魔王ごときが、ちょっと力をつけたからと言って、調子に乗っていると聞けば黙っているわけにはいかない。アイン殿よ我らに任せるがいい。」


そう言った彼等は、既にラグアが13魔王に食い込む実力を持っている事を知らない。


「アムド殿、アルド殿、頼んだぞ。私が王になった暁には重要なポストを約束する。共に新しいエルライド王国を作っていこうではないか。」


アインの最大の失敗は、頼む相手を間違えた事だ。

もし、これをミュンあたりに頼んでいれば、ラグアもまだ完全な敵対はしたくはないので、交渉の余地もあったかも知れない。

この事態は3人にとっては、不運。

ラグアにとっては、幸運が味方した事態だった。


アインもアムドもアルドも破滅への道を、まっしぐらだが、この時は残念ながら誰も気づくものは、いなかった。


ラグアの元に彼等が現れるのは、戴冠式の一ヶ月後の話だ。





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