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第391話リーゼとエリローズ3


「ありがとエリローズ。リーゼのお願いを聞いてくれて嬉しいな」


リーゼはエリローズの後半の呟きには、一切触れずにそう言った。


「ふふふっ、白々しいですね。まあ、どうせ私はラグア様には逆立ちしても勝てはしません。こうするより他にありません。ですが最後に一つだけ聞いてもよろしいでしょうか?もし、私が提案を呑まずにあなたを殺す事もしなかったらどうするつもりだったのですか?」


「決まってるじゃん。その時は…」


リーゼは言いながら手の平に、ピンポン球程度の大きさの球体を出現させる。

球体は手の平にめり込んでおり、半分程顔を出している。

それが何か。

答えは…


「これを壊す。再生系のスキルを持ってないリーゼはこれ。つまりアメーバの核を壊せば死ぬ。仲間思いなパパはお前を許さない。理由を聞くよりも先にお前を行動不能に打ちのめす。リーゼは全てが終わった後にミグのスキルで蘇る。結果は変わらないよ?」


「なら私があなたが自殺したと言っても無駄だと?」


「お前が長年パパと一緒にいたエリローズだったら正直わからないかな?でもお前は違う。この意味わかるよね?」


ラグアにとってはエリローズも含め仲間なのは、リーゼにもわかる。

だが、それはあくまでアルムスで生まれてから50年以上共に過ごしてきたエリローズに対してだ。

目の前のコイツはラグアにとって、そのエリローズを復活させる為の器でしかない。


自分とこの時代のエリローズなら必ず自分を選ぶ。

リーゼは確信していた。


「なるほど。なら試してみますか?」


エリローズは揺さぶりをかけるが、リーゼはニヤリと笑う。


「強がりはやめなよ?大人しく提案を呑んだ方がいいと思うよ。なぜなら…」


リーゼはそこで一度言葉を切る。


「さっきから発動させてるリーゼの神託でこの会話もパパに丸聞こえだからね?」


「………どうやら本当に私の負けのようですね…」


エリローズは最後にそう言ったのだった。




リーゼとエリローズの会話が終わったようだ。

にしてもリーゼとエリローズの会話を聞くまで、古代アルムスも宇宙消滅に入ってる事なんか完全に忘れてたわ。

まあ、リーゼがうまくやったみたいで結果オーライだからいいけどよ?


俺のところにリーゼとエリローズが転移してくる。


「エリローズ、リーゼの提案を呑むならさっきの会話は聞かなかった事にしてやる。それでいいな?」


「…わかりました」


俺はエリローズの返事を確認すると森羅万象をイグロシアルと古代アルムス、そしてリーゼ達にかける。

宇宙といっしょに消滅しちまったら困るからな?


さらに、俺は自分の大半の神格エネルギーを、不滅の概念が発動するギリギリの量を残して右手一本に集め、神格ビッグバンを発動直前にした状態で切り離し、亜空間に転移させる。


「準備は整ったぞ。やれよ。お前の夢なんだろ?」


俺は言った。

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