第378話星帝VS神王2
「くくくっ、いつもより小さめだな?範囲内にいるのは俺とお前だけか?」
俺は体から力が抜けるのを感じながら、ジジイと俺を閉じ込めた球体を見ながら言った。
ジジイはその気になれば宇宙全体のステータスを消滅させられる。
まあ、それをしなかった理由は予想がつく。
今までジジイはなんだかんだ、アンチステータスゾーンを宇宙空間で使ったのははじめてだ。
使えばどうなるか…
俺はこの件に大して2つの仮説を立てていた。
1つは宇宙空間に耐えきれず死ぬ。
これがない事はたった今立証されたが、別にこれならこれでよかった。
ジジイと相打ちで俺は死に、ジジイのアンチステータスゾーンが解けた瞬間、俺の不滅が発動し俺だけが生き残る。
神格エネルギーは減るが、そんなものはジジイの神格エネルギーで大半は戻るし、周りの有象無象の軍勢を処理すれば元通りだ。
そしてもう1つの仮説…
これはどうやら正解だったようだ。
じゃなければわざわざこんな範囲を限定した使い方をするわけはない。
その仮説とは、近くの惑星…つまり古代アルムスの引力に引っ張られた自由落下…
全体に使えば宇宙空間にいるアイツの軍勢も巻き添えで古代アルムスには、人間レベルにまでステータスが落ちた本当の意味の神々の雨が降る事になる。
つまり古代アルムスに激突する前に俺を倒さなければジジイの負けだ。
ジジイは知ってるのか知らないのかは知らないが、相討ちでも俺の勝ちだから当然だ。
まあ、よほどのバカじゃなければそんな事するわけがない。
ステータスの消滅により飛ぶ力は失われたが、幸いこの球体の中には足場もあるようだ。
つまりこれがジジイが用意した最終決戦のフィールドというわけだ。
「…その口ぶり…この技を知っているか。半信半疑であったが、そうか。儂の知らないオリジンゴッドだという事もあの女の面影を濃く受け継いでいる事も頷ける。おそらく貴様は…」
ジジイは俺の正体に見当がついたようだ。
俺は最後まで言わせずに答える。
「ああ、俺は未来からきた。今から約1000万年程先のな?」
「ならば問う。未来の神よ…わざわざ遠い過去まで何をしにきた?」
最高神は言った。
「アイツの器を探しに…ってだけでお前なら通じるよな?クソジジイ」
「そうか。ならば儂らが争う理由はない。協力しようではないか。貴様があの女の器を手に入れるのを…。今回の事であの女がまだ野望を諦めていないのはよくわかった。儂が…」
「話が長げーよクソジジイ。悪いがこの時代のクソアマの願いも叶えてやる事にした。お前は邪魔だから死ね」
俺はジジイの長い話を無理矢理ぶった切って言ったのだった。




