第373話消滅の暴走2
「あ?遊びに来ただと?てめえ俺がなんて言ったか覚えてるのか?」
エリローズは俺の言葉に笑みを浮かべて答える。
「確か何もするなでしたっけ?何もしなかったらこのポンコツが勝手に玉砕しようとしたので、動きを封じて手土産にする事にしました」
エリローズのその言葉で亜空間が裂け、中から静止した初代ラグアが現れる。
いや、コイツバカだろ?
初代ラグアを静止させるにしても、そのまま初代ラグアの配下を抑えて待っていればこんな事になっていない。
現在古代アルムスはテオレームの後釜を含めた三元魔でアルムス全土で内乱状態だ。
なぜ計画前にこんなクソめんどくせー状況になった?
これが原因でもしジジイを刺激したら目も当てられない。
「だから初代ラグアを抑えた後、そのまま動かなきゃよかっただろーが!!マジで何しに来たんだお前は!!俺の邪魔しにきたのか?あ?」
俺は怒りに任せて叫んだ。
対してエリローズは笑顔で答える。
「決まってるじゃないですか。サプライズですよ」
ダメコイツ…
早く何とかしないと…
俺はコイツを味方に引き込んだ事を盛大に後悔した。
忘れていた。
失念していた。
例え何千万年戻ろうがアホはアホだった。
そして同時にその結果が生んだこの最悪の事態にも後悔していた。
「で?クソアマ、一応聞くがこれもサプライズか?」
俺は次の瞬間、突如転移してきたおびただしい数の軍勢を見ながら言った。
その全てが神級…
下級神、中級神、上級神…
質も数もかつて見たジジイの軍勢なんてもんじゃない。
これが全盛期のジジイの力の様だ。
「これは…クソガキの方のサプライズですね。さすがにオリジンゴッド二体が力を全開にすれば、あのクソガキも重い腰をあげた様ですね」
エリローズは悪びれずに言った。
クソっ…
まだなんの準備もできてねーよ。
せめてもの救いは手土産の初代ラグアだが、ミグに食わせるまで時間を稼ぐ必要がある。
「発動、森羅万象、ミグ、エリス出ろ」
俺の言葉でミグとエリスが呼び出される。
「あれー師匠?ここどこー?」
「ラグア様、お呼びでしょうか?」
ミグとエリスは言った。
「ミグ、説明してる時間ねーからそれ食っとけっ!!エリス、ミグがそれ食うまで絶対にミグを死守しろっ!!」
俺は語気を荒げて言った。
「なんかわかんないけど、わかったよー」
「はっ、必ずやっ!!」
本来なら俺がミグを守ってもよかったが、俺はいつ出てくるかわからないジジイの奇襲を警戒する必要がある。
俺がそんな事を考えていると…
「さあ、最初で最後の共同戦線。派手に楽しみますよ?」
「てめえ、マジで一回死ねよ?」
俺は全く反省しないクソに向かって言ったのだった。




