第365話功労者
さて、これからどうするか。
エルライド城の玉座改め、惑星国家イグロシアルの玉座で俺は考える。
ウリンのギフトの解析が終わるのには俺は二週間をみている。
この時代のジジイは瀕死に追い込まれるまで何もしなかった傲慢なアホだが、絶対ではない。
一応万が一の為に手は考えておかないとな。
俺がそんな事を考えていた時だ。
玉座の間の扉の向こうに数人の気配がする。
「入れ」
俺は短く告げる。
相手はわかっている。
今回の功労者は労ってやらないとな。
できる統治者は部下を大切にするもんだ。
入ってきた数人は俺の前で跪く。
代表して1人の女が言う。
「ラグア様、フィアナただいま戻りました」
玉座の間に入ってきたのはフィアナ、リリス、プロトセリー、プロトリル、プロトノーマン、プロトアレスの6人だ。
「よお、よく戻ったな。今回のお前らの働きはほぼ完璧だった」
俺はニヤリと笑って言った。
「いえ…三元魔テオレームの捕獲もままならず、身内から裏切り者まで出してしまう始末で…」
フィアナは申し訳なさそうにそう言うが、言い終わらないうちに俺は口を挟む。
「テオレームの件は問題ない。お前に預けた俺の分体で倒したんだろ?そいつは本体との接続を切っている。接続を復活させる前に、ミグの餌にしちまえばいい」
「はっ、もちろんラグア様よりお借りした分体はこの後すぐにお返し致します」
フィアナは言った。
「そしてプロトクローンの裏切りの件だが、あれも言う事はない。結果的に2体程俺が始末する事になったが、エリローズの邪魔が入って帝級アンデットがやられたのは事故みたいなもんだ。十分お前はよくやった」
「もっもったいないお言葉でございますっ!!」
フィアナは感極まり涙目で言った。
俺は一拍おいて全体を見渡しながら言う。
「さて、俺はそんなお前達に褒美をやろうと思う。特にフィアナ。お前が望むなら大抵の事は叶えてやれるつもりだ。何がいい?」
俺はフィアナを試す様に見ながら言った。
俺はフィアナには特別幹部の椅子ぐらいくれてやってもいいと思っている。
普段なら俺はそのまま特別幹部の椅子を渡して終わりだった。
だが、今回の様な作戦を思いつくようなヤツが褒美に何を望むのかは純粋に気になった。
「ラグア様、私は…」
フィアナがそこまで言いかけた時だ。
突然、ノックの音も無しに玉座の間の扉が開く。
そしてその人物はそのままツカツカと俺の方に歩いてくる。
この城…いや、この星でこんな事をするヤツは俺は2人しか知らない。
しかもそのうちの1人は俺と融合している為、物理的に無理だ。
「おいリーゼ。用なら後にしろや。俺は見ての通り忙しい」
俺は入ってきた人物…星帝皇女、リーゼ・エルライド・イグロシアルに向かって言ったのだった。




