第364話神々の盟約2
「私の願いを叶える?それはさすがに信用できませんね。あなたの時代の私に会ったならあなたは私の目的を知ってるのですよね?」
エリローズは言った。
最終目的である宇宙消滅…
それは初代ラグアにさえ伝えていなかった。
もし、伝えていれば初代ラグアの裏切りはもっと早いものになっただろう。
「そこら辺は心配するな。俺は時間も宇宙もまたげるし、何より俺を殺す事はお前には無理だ」
俺はそう言って分体とイグロシアルにいる本体を入れ換える。
「………不滅の概念…それにその神格エネルギー…ざっと私の倍といったところですか。それにどうやって手に入れたのか消滅の概念まで…。わかりました。ぜひこちらから協力をお願いしたいぐらいです。対価はなんですか?」
エリローズは言った。
さすがにただで協力してもらえるとは思ってないようだ。
「対価はお前の器。オリジンゴッドの肉体と言ったら?」
エリローズは俺の言葉に目を細めて言う。
「そうですか。あなたは…。いえなんでもありません。お安い御用ですよ。元より全てが終わった時に私は消えるつもりでしたし」
エリローズは俺の中にいるもう1人のエリローズに気づいたようだ。
さすがと言うべきか。
「それでは今からクソガキを血祭りにあげに行きますか。ああ、そこのアホはもう必要ありませんね?」
エリローズは消滅の概念で初代ラグアを消そうとするが、俺はそれを止める。
あぶねー。
分体のままだったら止めらなかった。
「いや少し待て。今すぐだとお前の器をもらう準備ができてねー」
「………概念の発動を止められたのなど、はじめてですよ。規格外の化け物ですね」
「あ?お前に言われたくねーよ。クソアマ」
エリローズは俺の言葉に笑う。
「そんな呼ばれ方をしたのもはじめてですね。ああ、あなたの時代にいた私が羨ましいですよ。それで?具体的にはいつ動き出すので?」
「ああ、俺は今から数週間以内に動く。お前はその間何もするな。具体的にはそいつを始末するのもまだ早い。そいつは来たるべき時まで生かしておけ。………そうだな。俺がいなくなったあとそいつの時間を動かして俺の分体はお前が倒した事にしたらどうだ?」
「なるほど。いいですよ。ふふふっ、次に会えるのを楽しみにしてますよ」
俺はエリローズとそのやりとりを最後にイグロシアルへと転移する。
クレーターとなったダミーエルライド王国にはしばらく、満足気なエリローズが立っていたのだった。




