第351話ダミーエルライド王国防衛戦13
〜ダミーエルライド王国、玉座の間〜
「ラグア様っ!!報告です。プロトフィローラを主体にしたプロトフィローラ、プロトウリン、プロトフィリム、プロトバルト、プロトシーラの5名が逃亡しました」
ダミーエルライド王国の玉座の間にいる俺の分体に、そう報告してきたのはプロトエリスだ。
「いや問題ない。フィアナはこれも読んでるしな?」
まあ、お前が残ったのはさすがに想定してなかったがな?と言う言葉を飲み込みながら俺は言った。
正直、フィアナの息がかかったプロトノーマンとプロトアレス以外残るとは思ってなかった。
「ははあ…!?」
プロトエリスはポカンとした顔でそう言った。
「本国の会議もちょうどさっき終わった。俺の本体は忙しいが、セリーの帝級アンデットは回せる」
俺がそう言うと同時にセリーの帝級アンデットが転移してくる。
「くくくっ、この圧倒的に戦力が足りない状況でセリーの帝級アンデットを不穏分子の粛清に使うとはな。今回のテオレームに対する奇襲にしても完璧だ。無事成功したら特別幹部の椅子をくれてやってもいいかもな?」
プロトエリスは俺の言葉を聞くと若干の動揺を見せる。
おそらく迷ったあげく残ったのだろう。
まあ、そこをとやかく言うつもりはない。
フィアナは少ない戦力でもっとも結果が出るように動いたが、裏を返せばただの暴政だ。
まあ俺が言える事じゃないがな?
ちなみにプロトノーマンとプロトアレスは、もし帝級アンデットが間に合わなかった場合、プロトフィローラ達にぶつけて時間を稼ぐよう指示を出した事は既にフィアナから聞いている。
「プロトエリス、よく俺について残ってくれた。今からお前も幹部入りだ。名前は………イリスと名乗れ」
「あっありがたき幸せにございますっ!!」
プロトエリス改めイリスは俺に跪くとそう言った。
さて、イリスに名を与えたとなるとプロトノーマンとプロトアレスの名も考えとかないとな。
おっとその前に…
「セリーっ!!一足早くイリスとプロトノーマンとプロトアレスを回収しろ。それから帝級アンデット。持ち場を放棄して逃げ出したクソ共を始末してこい」
俺はセリーと帝級アンデットにそう指示を出す。
「さて、バカ共は俺の分体で直々に相手してやるとするか」
俺はこちらに近づいてくる初代ラグアとエリローズの方を見ながら言ったのだった。




