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第344話ダミーエルライド王国防衛戦6


「うーん、それはちょっと無理かな?さすがにラグア様をさしだすのはね?あ、名乗ってなかったね?僕はプロトノーマン。この第1防衛ラインの隊長を任されてるよ。こっちはプロトアレスだよ」


プロトノーマンは言った。

現在、太古のアルムスに降りてきているラグアが分体だという事は固くラグアより口止めされていた。


「なら何しに来た?にしてもプロトなんとかとか言ったか?こないだ捕らえた捕虜も確か…」


「うん、頭につくプロトはプロトクローンの証だよ。僕もそこのプロトアレスもプロトクローンだよ。量産型王級クラスと言った方がわかりやすいかな?」


「おいっ!?」


プロトノーマンの言葉にプロトアレスは声を荒げる。

口止めされてない情報はこの様である。


「なるほど、面白いですね。王級クラスを作れるとは…。私なら王級程度ならその気になれば簡単に作れますが他にもできる方がいるとは…」


今度はエリローズが食いつくがそれに初代ラグアが反応する。


「…エリローズ。隠し事か?俺様はそんな事聞いてねーぜ?」


「言ってませんでしたか?まあ、聞かれませんでしたので」


王級クラスを作れるなら下位の四天凶星の補充など容易だ。

そんな大事な事を黙っていたのを初代ラグアは許容できるわけがなかった。


「その気になれば才能さえあれば帝級だって作れますよ?神級は少し時間がかかりますが…。そもそもラグア。あなたを神にしたのは誰か忘れたのですか?あまりオリジンゴッドをナメないで下さい」


エリローズは悪びれずに答えた。


そうこれはラグアからエリローズの性格を聞いてフィアナがたてた作戦なのだ。

プロトノーマンに交渉など任せれば確実にボロが出る。

そもそもボロが出ない事などありえない。

ならそれを利用して敵を仲違いさせればいい。

これこそがフィアナが考えた作戦だった。


初代ラグアはここで神の読心を使用する。

だが、わかった情報はそう多くはない。


プロトクローンが生まれたのはヤツらの本拠地だというイグロシアルという惑星だという事…


この先の王国には今回の作戦の総責任者であるフィアナとリリスという敵の幹部がいる事…


そしてそのフィアナから与えられた命令でプロトノーマンが交渉に来ていて本来の目的は休戦であるという事…


それぐらいだった。


読心を使ったのが捕虜のプロトセリーや、一応幹部ではあるフィアナだったらもう少し重要な情報も得られただろうが、今回の作戦に動員されている指揮官クラスはほとんどがラグアから捨て駒としか見られていない。

重要な情報など持っているわけがなかった。


「悪いが心を読んだ。休戦はしない。むしろフィアナとかいうヤツに用ができた。いくぞ進軍だ。背中を狙うのは俺の流儀に反するからお前らは本陣に戻るなり戦うなり好きにしていいぜ?」


こうして初代ラグアとプロトノーマンの交渉は決裂したのだった。



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