第339話ダミーエルライド王国防衛戦
時はラグアがリーゼの暴走により、星帝にさせられてしまったところまで遡る。
〜ダミーエルライド王国、玉座の間〜
その玉座には真っ白な髪の少年が座り、その目の前には2人の女が跪く。
「ラグア様。ラグア様の予想通り初代ラグア陣営が大軍を率いてこちらに向かっています。いかが致しますか?」
跪くものの1人、プロトフィリア…いや、この場合はフィアナと言った方がいいだろうか。
今回の作戦の為に幹部に抜擢された存在は言った。
「予定通りだ。第1防衛ラインから第4防衛ラインまでで敵の幹部以外は最低でも足止めしろ」
玉座に座る者…
ラグアの不滅の帝による分体は言った。
エリローズと戦うにはまだ早すぎる。
最低でもミグがオリジンゴッドになった後でないと、目的が果たせない。
だが、さすがにアルムスを完全放置するわけにはいかない。
そんな事をすればヤツらはイグロシアルに攻め込んでくるだろう。
ぶつかればたぶん勝つのは俺だが、今ヤツらを倒したところでエリローズの復活は叶わない。
ここでヤツらにはイグロシアル進軍を躊躇させるぐらいには痛手を負ってもらう必要がある。
従って今回のは最悪失っても問題ない戦力は大判振る舞いだ。
まずは雑兵…
これはセリーの量産型アンデットが100億…
これは状況に応じて補充するつもりだ。
次に指揮官クラス…
これは今回プロトクローンを17体用意した。
この作戦の為に急遽幹部に抜擢したフィアナもその1人だ。
そして最後に…
「リリス、前回は状況が状況だから退げたが今回は最後までやる。もし今回お前が生き残れたら同盟ってのはさすがに無理だが、特別幹部としてお前の国の実質的な統治は任せてやるよ?」
俺は目の前で跪くもう1人の女…
リリス・ヘヴンに向かって言った。
「わかりました。必ず生き残ります」
リリスの目からは強い意志が感じられた。
まあ、若干ヤケになっているのかも知れないが…
俺の概算だとフィアナやリリスの生存率は2割を切るがこれは言わない方がいいだろう。
こんな戦力でまともに初代ラグアと勝負になるわけない。
唯一勝負になるのは何体か配置した俺の分体だが、これも初代ラグアやエリローズが前線に出てきたら一瞬で蹴散らされるのは目に見えている。
上位3魔王…いや、今は三元魔か。
あの連中はこの時代はまだ帝級クラスだから分体でも勝てるが、近くに初代ラグアやエリローズがいないかはもはや賭けだ。
なんとか今回で最低でも三元魔1人は撃破…できれば捕縛はしたいがそこまで上手くいくかは正直微妙だな。
「今この瞬間からリリス・ヘヴンを俺の臨時幹部に任命する。軍の総指揮はフィアナとリリスの2人でとれ。フィアナには今回の作戦の成功の暁にはイグロシアルで引き続き幹部としての任務についてもらう」
「そっそれは大変な名誉な事です」
フィアナは興奮しているのか紅潮させて言った。
「さあ行け。化石共に新時代の支配者は誰なのかを教えてやれ」
「「はっ」」
フィアナとリリスの声が同時にダミーエルライド王国の玉座の間に響くのだった。




