第336話黄泉の神の検証3
「エリス、後は任せたぞ?ゴルドに色々と教えてやれ」
「はっ」
エリスとゴルドは玉座の間から退室する。
〜
「さて、次はシュドレの両親だな。ミグ、弓王と剣王を生贄にしろ」
「りょーかい師匠」
ミグの手から黒い霧が現れる。
いよいよだ。
カティアは気を引き締める。
霧が晴れると同時に男女が現れる。
カティアは男の方に迷わずセルナースの力で極限まで、強化した静止の魔眼を叩きこむ。
「父さん…母さん…」
シュドレは感極まったのかそんな事を言うが、すぐに父親の方の異変に気付き声をあげようとするが、カティアはシュドレにも静止の魔眼を叩きこむ。
王級クラスのシュドレの父親とは違い、ゼギウスの神級スキルに守られているシュドレにはこんなものは通用しない。
だからこれは本気でシュドレの動きを止めようとしたものではない。
ただ余計な事をするなという意思表示だ。
シュドレは一瞬怪訝な顔をしたが、そもそもここまでの成果はほぼカティアのものなのでおし黙る。
〜
なんとか第一関門は突破…
だが、シュドレは浮かれすぎてまだ気づかない。
なんとかラグアに気づかれずシュドレに気づかれない方法はないものか?
カティアは考える。
「よし、とりあえず全員成功したな?ん?なんかシュドレの親父か?どっかで見た事があるような…」
ラグアはそんな事を言い出す。
この段階に至ってようやくシュドレは青くなり出す。
遅いよバカ…
カティアは言う。
「ラグア様、あれは確か…はじめてラグア様とあった時に闘技場で絡んできたチンピラですよね?」
ラグアとはじめてあったリース森林国…
そこでさんざんイカサマをしていた自分達にチンピラが絡んできた。
かなり苦しい言い訳…
だが、これで押し通すしかない。
「私の主人は…」
言いかけたシュドレの母親にカティアは今度は魅了の魔眼をぶっ放す。
シュドレの父親とは違い、母親の方はただの一般人だ。
そんな実力のかけ離れた存在に魅了の魔眼を使えばどうなるか…
操り人形の出来上がりだ。
「チンピラですね」
シュドレの母親は言った。
「あ?見たところ王級クラスみてえだが…?」
鑑定を使わないまでもだいたいの強さはわかる。
王級クラスのチンピラなどいるわけがない。
マズイ…
このままでは…
カティアは言葉に詰まるが、ここで状況を理解したシュドレの援護が入る。
「ラグア様、実のところ本当にどうしようもない父親ですが、俺についてる担当神ゼギウスの力により、王級になったのです。ラグア様、母親とそしてこんなどうしようない父親ですが、それでも俺の大切な肉親です。今回は本当にありがとうございました」
ボロクソに言われシュドレの父親、リンガイア王国勇者、ゼノム・イロード改めただの王級チンピラは、動けないながらも涙目になっているが、今はそんな事言ってられる状況ではない。
「そうか。そういや俺の両親もクソだったな。まあいい。シュドレ、それからカティア、俺はまだ少しやる事があるからそいつらを連れて下がっていいぞ?」
「はっ、今日はありがとうございました。失礼します」
シュドレはカティアと自分の両親に転移をかけて玉座の間をあとにする。
こうして、黄泉の神の検証は終了するのだった。




