第323話古き時代のアルムス29
「まさかシーラのヤツまで動き出してるとは…。ソドムの野郎どう考えても1人で処理できるレベルじゃないだろ」
小柄な女プロトセリーを小脇に抱えた金髪の男は呟く。
男は現在分体だが、それはHP以外のステータスやスキルは本体と遜色はない。
そもそもステータス表記のHPが∞に到達しない限り、帝級スキル、不滅の帝によって作り出した分体を作るにあたってHPを分割する必要がある。
逆になんらかの状況により。万が一本体が消滅させられたとしても分体が残っていればいくらでも復活は可能だ。
そうゆう意味では金髪の男…
大魔王、ラグア・ベルゼ・アルムス、三元魔の1人、人元ロロ・ベアトリクスは十分本体と言えるかも知れない。
ロロはかなり離れて様子を伺っていたので、オリウスとシーラの会話はほとんど聞けなかった。
だが、シーラの口からかろうじて大将と言う単語は聞き取った。
つまり最低でも半神シーラ・ベルネイアを従わせる程の化け物がいるということだ。
間違ってもソドム1人の手に負えるような話ではない。
場合によっては一度アルムス創造神達との戦いを中断してでも先に叩く必要がある。
ロロは思った。
「テオレームのバカもソドムのアホもこれを見ればさすがに気づくだろう。シーラ・ベルネイアに加えて王級クラスを平気で使い捨てにする様なイかれたヤツを相手にしてるって事にな…。まあまずはラグア様とエリローズ様に報告だな」
ロロは小脇に抱えたプロトセリーを見ながら呟くのだった。
〜
俺とミグは次の場所に転移した。
ここは頭が3つある人型スライムがいる場所だ。
「さてミグ。次はアイツを…」
俺がミグに3つ首スライムを殺れと言おうとした時だ。
突然、神託による通信が入る。
この感じはシーラだな。
『おうシーラ。どうした?侵入者か?』
『………ごめん、大将しくじった…』
しくじった?
帝級クラスの侵入者を逃したって事か?
どこの陣営だかわからんが、シーラから逃げ切る程の実力者か…
これは一旦戻った方が良さそうだな。
「ミグ、シーラから連絡が入った。ここら一旦中断だ。戻るぞ」
俺とミグは目の前にいる3つ首スライムを放置して転移する。
〜
ダミーエルライド王国につくとそこはもう廃墟と化していた。
「うわー師匠。シーラちゃん派手にやったねー?」
「ああそうだな」
俺はミグを適当に受け流してシーラの方を見る。
シーラの横には完全に拘束された男の姿もある。
廃墟と化したダミーエルライド王国の生命反応は2つ。
一応周辺にも索敵を広げたが、反応はない。
プロトクローンもいないところを見るとあの男に殺されたか、シーラに消されたと考えるのが自然だろう。
ん?これ普通に成功してねーか?
俺は思うのだった。




