第322話古き時代のアルムス28
これがシーラ…
これが神級…
自分が虫の息にした一体を除いた二体のおそらく敵の幹部が一瞬で消された。
全く見えなかった。
いや、今さらそんな楽観視するのはやめだ。
アイツらはおそらく幹部なんかじゃねー。
シーラとヤツらの会話を聞いてればわかる。
あれは自分をおびき寄せる為の捨て駒…
つまりシーラが言う大将ってヤツにとっては、どうなってもいい戦力だ。
敵の前でベラベラ情報を喋ってくれたおかげで、このまま逃げれば、そこそこの成果は持ち帰る事ができそうだ。
まあ、逃がしてくれればの話だが…
オリウスは思った。
「発動、帝級スキル、次元の帝、亜空間強制転移」
オリウスは帝級スキル、次元の帝を発動させる。
オリウスから放たれた強制転移の光はシーラに迫る。
通常神級クラスに帝級スキルの攻撃など通用しない。
王級以下、王級クラス、帝級クラス、神級クラスの間にはそれぞれ絶対に超えられない壁があり、下位のクラスの攻撃を無条件で無効化することができる。
シーラ・ベルネイアは、一応帝級クラスには分類されるが、半神である彼女の帝級スキル、水神の帝は発動さえしてしまえばその力は下級神にすら匹敵する。
現状水神の帝が発動した状況ではオリウスの攻撃など通るはずがなかった。
だからオリウスは帝級スキルで攻撃する事はしなかった。
転移は攻撃ではない。
シーラがそのまま転移される可能性は薄いが、それでも抵抗するのに多少の時間はかかるはず…
オリウスはそう考えての事だった。
だが…
「バカだねー。ウチの事なめすぎだよー?」
転移の光は直撃した。
その上でシーラはオリウスのすぐ前に立っていたのだ。
衝撃…
そして破壊音…
それは体内を構成する超硬度の水晶を一撃でグシャグシャに破壊された事を意味する。
気がついた時にはオリウスは地に伏していた。
訳がわからなかった。
「発動、水神の帝、水神の牢獄…。はいこれで任務完了。わからないみたいだから説明してあげる。確かに抵抗すれば一瞬ウチは止まっただろうね?だからすんなり転移されてあげたよ。そのままお前の前に即座に転移し直したけどね?」
オリウスの意識はそこで途切れる。
「さて、あとは…」
シーラが最後に死にかけのプロトセリーを始末しようとした時だ。
シーラは気づく。
プロトセリーがいない事に…
どうゆう事?
逃げられるほど軽い怪我でもなかったはずなのに…
とゆーことは第三者の新手が現れてあの人形を連れ去ったってこと?
いや、格下を相手にしてて周りに意識を割く余裕はあったからその可能性は…
ないと考えようとしてシーラはそこで思い直す。
「まさか!?ウチが亜空間に飛ばされて転移しなおすあの一瞬で!?」
意識を失ったオリウスとボロボロになったダミーエルライド王国にシーラの声がこだまするのだった。




