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第321話古き時代のアルムス27


「それは…」


プロトエリスはシーラの言葉を否定できずに押し黙る。

シーラはそのまま続ける。


「お前ら勘違いしてるみたいだね?ウチは大将の絶対的な力と大将がこれからやろうとする事に興味を持って協力した。だからこそこんな雑用に近いようなトカゲの捕獲にもイヤイヤながら出てきたんだよ?でもね…」


そこでシーラは一度言葉を切ってから言う。


「ウチは大将じゃない。お前らはウチの部下でもなんでもない。つまりそこの死に損ないを助ける義理もない。ただの捨て駒人形が」




シーラはここに来る前にラグアよりダミーエルライド王国とプロトクローンの簡単な説明を受けていた。

逆にプロトクローン達もシーラについては聞いていた。

だが、プロトクローンに対してした説明はラグアがシーラと同盟を組んだというものだけだった。

無論シーラは違う。


「シーラ最初の仕事だ。ダミーエルライド王国に侵入者が入りしだい捕らえろ」


「殺しちゃダメなの?」


「ダメだ。現段階では帝級クラスは利用価値が高い。勝手に殺すのは許さん。それとダミーエルライド王国には帝級クラスを集める撒き餌にプロトクローンを数体配置してある。そっちはお前の好きにしていい」


ラグアの雑兵、プロトクローンについては先程ラグアから説明を受けた。

既存の配下達を元にラグアが生み出したクローン達…

成長の余地は一切残されていないらしいが、生まれながらの王級クラスを大量生産できる事自体がそもそもおかしい。


「どうゆう事かな?そんな連中が帝級クラスの相手なんかできるわけないと思うけど?」


シーラは疑問に思い聞き返した。

その質問にラグアは答える。


「プロトクローン共にそんな期待は最初からしてない。ヤツらは撒き餌だ。わかりやすく説明してやる。俺は帝級って言う魚を捕獲する為にプロトクローンっていう餌とダミーエルライド王国っていう釣竿を用意した。そして魚を捕まえるのはお前だ。釣竿が壊れたら作り直せばいいだけだし、餌がなくなったら新しいのを作ればいい。俺にとってあれはその程度だ。失ったところで痛くはない。むしろ中途半端に生き残れば他のプロトクローンの士気に関わるから、少しでも俺に不信感を持つ様なら殺せ」


ラグアはそう冷たく言い放った。


「大将もなかなか良い性格してるわー。まあ確かにこーゆー汚れ役はミグよりウチの方が向いてるけどね?」


シーラは笑みを浮かべながら言った。


「大将?まあ好きに呼べばいいさ。ヤツらは帝級クラスを釣る為の必要経費だ。いくらなんでも防衛皆無の無人の廃墟にまともな戦力が攻めてくるって思うほど俺も楽観的じゃねー。俺はその時はおそらくミグといっしょに行動している。まあ、なんかあった時の為に一応お前にも神託をくっつけとくからヤバくなったら呼べよ?」


ラグアは最後にそう付け加えた。




「とゆーわけでお前らはもう用済みなんだよ。まあここまで言ったらイグロシアルに帰す訳にはいかなくなったしね。今までご苦労さん。発動、帝級スキル、水神の帝」


シーラのその言葉でプロトエリスとプロトライナーは何をされたのかもわからないまま消滅する。

プロトセリーの方は放っておいても時間の問題だろう。


「待たせたね。ウチと遊ぶ時間だよ?トカゲ風情がどこまでやれるのかをウチに見せてよ?」


シーラは邪悪な笑みを浮かべて言ったのだった。

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