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第320話古き時代のアルムス26


「しっ、シーラ・ベルネイアだと!?」


オリウスはバキバキへし折られた右腕を再生させながらそれをやってのけた人物を見て驚愕する。


「トカゲ風情までウチの事知ってるんだー。いやー、有名人は辛いねー。ウチ照れ屋なんだよ?」


シーラは全く照れた様子もなく言った。


クソっ…

冗談じゃねえ…

相手は創造神を除いた現アルムス最強の1人シーラ・ベルネイア…

少し前まで大魔王ラグア・ベルゼ・アルムスに匹敵するとまで言われていた本物の化け物…

白竜の嬢ちゃんが手も足も出ずにやられたのも当たり前だ。

いくらなんでも存在の格が違いすぎる。

啖呵を切って出てきたはいいが、状況は最悪以外の何者でもない。

オリウスは思った。


「まさか半神シーラ・ベルネイアにこんなところで合うとは…。白竜の嬢ちゃん…いや、龍元ソドム・グラファル直属、四天凶星シルビアを殺ったのはあんたか?」


オリウスは言った。

さすがにあれだけ啖呵を切ったのだ。

いくらなんでも手ぶらで逃げ帰る訳にはいかなかった。

そんな事をすれば、いくら旧友であり戦友でもあるソドムの爺さんだって、自分を消しにかかるだろう。

しかしだからと言って面と向かってアルムス最強の化け物の1人に喧嘩を売る事はできない。

もし、シーラがシルビアを殺ったのを認めた場合は即時撤退だ。

シーラ・ベルネイアは神級に片足を突っ込んではいるが、基本的に飽き性でかなり詰めが甘い事でも有名だ。

逃亡に専念すれば自分程度でも成功する可能性は十分にある。


だが、そんなシーラの答えはカラカラ笑うというものだった。


「やだなー。ウチみたいな新入りがそんな事するわけないじゃん?シルビアだっけ?誰だろう?大将からは何も言われてないからとるに足らないゴミなんだろーけど」


シーラはラグアの事を大将と呼ぶ事に決めたようだった。


「大将?」


オリウスが問いかけようとした時だ。


「シーラ様、失礼を承知で口を挟ませて下さい。このままではプロトセリーが…」


プロトエリスは言った。

ちなみにプロトセリーは死にかかっている。


チッ、短い舌打ち…

そして溢れ出る濃厚な殺気…

それはシーラから放たれるものだった。


「本当に失礼だよねー?今ウチはそこのトカゲと話してるんだよー?出来損ないの人形の1匹や2匹、どーでもいいんだよ」


人形?

なんの話をしている?

シーラが言う大将というのも気にかかる。

だが、敵がこちらから意識を外している間に退くべきなのか?

オリウスが頭の中で高速で思考する。


オリウスは対峙する2人の女を見ながら引き際を思案するのだった。

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