第315話古き時代のアルムス21
「………クレア、それは間違いないか?」
ソドムはクレアに確認の意をこめて言った。
「はっ、それは私のスキルで確認したので間違いないかと…」
固有スキル、生体感知…
クレアの持つスキルの一つで所詮、王級にすら満たないが、味方の安否確認や敵の死亡確認においては右に出るものはない。
王級上位に位置するクレアでさえ、重宝していることからもその有用性はうかがえる。
「…そうか。シルビアを敵対勢力の調査に向かわせたのは儂だ。儂の認識が甘かった。シルビアには悪い事をした」
ソドムは瞳に悲しげな色を浮かべながら言った。
これから約500年後、主人を失った怒りに我を忘れて自らの配下達をテオレームに突撃させ、全てを玉砕させるという所業をやってのけた人物とはとても思えない。
そんなソドムの言葉に1番大きく反応したのはイドラスだ。
「ソドム様っ!?ソドム様の采配にミスなどあるはずがございませんっ!!悪いのはオレ達…オレ達四天凶星に力がなかったからです。それにシルビアは…」
「わかったイドラス。わかったからそれ以上は言うな。偉大なる大魔王ラグア様の為散った同胞を悪く言う事は許さぬ」
その後の言葉…シルビアはソドム配下の四天凶星の中では最弱とは言わせない。
ソドムの言葉には強い意志が込められていた。
ソドムは静かに言う。
「イドラス、最後の四天凶星を…オリウスを呼べ」
イドラスはその言葉に固まった。
「しかしっ!?ヤツは…」
「ああ、お前達とは違い素直に儂の命令を聞く様なヤツではないな。だが、今回の件はオリウスも興味を持つはずだ」
「やはりここはオレ達がっ!!オレ1人では結果を出せずともクレアと2人なら…」
ソドムはイドラスの言葉を最後まで言わせなかった。
「なんとかなるとでも?シルビアが副官2人を連れ調査に行き、儂の元に報告すら持ち帰る事ができずに返り討ちにあった相手をお前達2人でなんとかなると?」
「それは…申し訳ありません。差しでがましいことを言いました」
「心配するな。オリウスとの付き合いはお前達より長い。それにヤツは実力だけならラグア様、エリローズ様、そして儂ら三元魔に次ぐ6番手だ。ロロやテオレームの配下の実力は正確にはわからんが、さすがにオリウスには敵うまい。アレでもヤツは覇王と引き分けた程の男だぞ?」
「…わかりました。至急オリウスを呼んで参ります」
イドラスはソドムに一礼すると部屋を出て行くのだった。




