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第309話古き時代のアルムス17


シーラの懐柔には成功した。

現在は既にイグロシアルに送ってある。

本格的な戦いがはじまるのはまだ先なので、今のところ必要ない。

今頃イグロシアルでは俺が吹き飛ばしたシーラの神殿をエリスが神級スキルで建て直しているところだろう。


次はミュラの両親とジオの国だな。

まずはミュラの両親から行くとしよう。


余談だが、ミュラは他の有象無象の吸血鬼とは違い純血…

つまり真祖らしい。

まあ、ウリンの話だとこの時代には真祖などゴロゴロいるらしいが、現代のアルムスで生き残っているのはミュラとその妹のミュンだけで他の真祖は、最初の神魔大戦で全滅らしい。

そして生まれつき固有スキル、不老を持っている真祖達の繁殖能力はかなり低い。

具体的には子を産むのは5000年に一度…

ミュンが産まれるのは約500年後だが、つまりミュンが神魔大戦の直前に誕生するのは必然だったって事だ。

まあ、そもそもまともな方法で繁殖できない俺が言うのもおかしな話だがな…

リーゼの件はかなり特例だ。

ウリンとルルがいなければリーゼは生まれていなかっただろう。

話がそれたな。

俺はミグを連れてミュラの両親のところへ転移する。




俺達が転移した先はギリギリ街と呼べるぐらいの寂れた場所だった。


俺は言う。


「おい、ミグ。座標的にはゾフィス夜王国だがここであってるのか?」


「師匠すごいね。ミュラパパとミュラママの国知ってるんだ?」


ミグは少し驚いた様に言った。


『現在のゾフィス夜王国はこの国唯一の真祖である、ミュラ・ゾフィスの両親が治めています。人口は確か吸血鬼が600人程…。この時代には真祖も吸血鬼もここより大きな国はいくらでもありましたから私達は放置していましたね』


エリローズが補足した。


「まあ俺達の時代にもゾフィス夜王国は存在してたしな?」


俺はミグに向かって若干ボカしつつ答える。

間違っても俺が潰したとか余計なことは言わない。

目的を達成するまでは、この時代のミグと敵対するのは最悪だ。

コイツは性格上、一旦敵になったら関係修復はほぼ不可能だしな。


俺とミグはそんな話をしながら王城…領主の館…いや、少し立派な屋敷程度の建物に向かう。




「ミグ様、よくぞいらっしゃいました。いつも娘がお世話になっております。いきなりでしたので何の準備もできていませんが、どうかゆっくりしていって下さい」


屋敷に入ってすぐミュラの両親は俺達に歓迎の言葉を言ったのだった。

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