第308話古き時代のアルムス16
「あたしもシーラちゃんが大好きだよー。また遊ぼーね?」
「は?」
ミグの空気の読めない発言シーラは完全に硬直する。
「…ミグ、1つ聞いていい?」
「うん、なーに?」
「あんたはそこの化け物をけしかけてウチを殺しにきたんだよね?」
シーラの問いにミグは首を傾げる。
「ん?お友達のシーラちゃんにそんな事するわけないじゃん?」
「ならミグは何しに来たの?」
「え?それはシーラちゃんを迎えに来たんだよー」
「ごめん。訳がわからない。後ろのあんた説明してほしいわ。悪いけど理解不能だよ」
シーラはミグとの会話を諦めて俺に話をふってきた。
「シーラ…てめえ人の事を化け物扱いして殺る気満々で攻撃してきやがって、俺にふるとはいい度胸だな?」
シーラは俺の若干の殺気を含んだ言葉を交わしながらわざとらしく照れたそぶりで答える。
「あれ?その口ぶりはウチの事を知ってるみたいだね?人気者は辛いわー」
俺はそんなシーラに対し、笑みを浮かべながら答える。
「そーいやてめえはそうゆうヤツだったな?まあいい。提案だ。今俺とミグは協力関係にある。俺がミグにやらせたい事をするには大量の犠牲…結果的にアルムスの大半の勢力を殺す事になる。だが、お前や他にもミグがあげた何人かはこっちに引き入れようと思ってる。俺と共にこい。俺が作る新しい世界を見せてやるよ?」
「断ったら?あー…そんな殺気ださないでよ?冗談だよ」
シーラは俺のけっこうマジな殺気に気圧されつつもそんな事を言った。
「あんた名前は?知ってるみたいだけどウチはシーラ・ベルネイア。ミグになんて言ったか知らないけど、ウチは退屈しなきゃそれでいいかな?それが条件だったり?」
「つまりお前もアルムスを潰すのに協力すると?いいぞ。交渉成立だ。俺はラグア・エルライドだ」
「惚れ惚れするほど都合のいい解釈だねー?でも面白そうだからのるよ。ラグア・エルライドか。ねー、1つ聞いていい?なんでラグアの名なんか語ってるの?そんな事しなくたってあんたは…」
シーラが言い終わらないうちに俺は答える。
「悪いがこれは俺の本名だ。簡単に言うと俺は未来から来た。説明がだるいからこれでいいか?」
「オーケー。頭使うの嫌いだからそれでいいよ。未来のラグア、ウチはあんたにつくよ。それで?あんたの拠点はどこ?そーいえば、最近アンデットばっかりの国ができたって聞いたけどそこ?」
シーラが言ったのはたぶんダミーエルライド王国の事だろう。
「あー、あれはただの前線基地だ。本国はあれだ」
俺は空に浮かぶイグロシアルを指す。
「………ふふっ、あんたについて正解だったみたいだね…」
シーラは若干呆れながらそう言ったのだった。




