第306話古き時代のアルムス14
「ラグア殿、生き残りと言ってもあたし達は…その…」
ウリンは口ごもった。
「あ?カティア以外の他の5王の話じゃお前が1番古参だって話じゃねーのか?」
「そうだけど…あたし達は神魔大戦に参加したと言えるか正直微妙だし…」
「ああ、その辺はいい。俺が知りたいのはこの時代の主だった勢力図だけだ」
「わかったわよ。でも情報の正確さはあてにしないで。一応断っておくけど、この時代のあたしはまだ10代だし、他の5王はまだ生まれてもないから…」
ウリンはそう釘を刺した。
俺はウリンの言葉にいい意味で少し驚く。
新5王のカティアを除いた5王達は神魔大戦時、地下に大都市を作り出す事により難を逃れた。
つまりカティア以外の5王は全員、神魔大戦の時代を生きていたって事だ。
これはカティアから聞いた話だが、ウリンは他の5王がまだガキだった頃から既に今の姿を維持しているという。
つまり5王の中でコイツが1番古参という事…
問題はウリンの情報と今の時代のズレがどれほどあるかだが、10代とは言え生きていたなら問題はなさそうだ。
若干ヒステリー気味な性格はともかく、俺はウリンの頭に関しては評価している。
全く役に立たない事はありえないだろう。
それに…
俺は拘束されているシルビアとか言う、セリーとフィリアが捕らえた捕虜を見る。
コイツに尋問すれば更に情報は集まるだろう。
楽しい拷問のはじまりだ。
え?読心を使えば一発だって?
は?そんなもったいない事するわけねーじゃん?
「師匠ー。シーラちゃん達のとこにはいついくのー?」
あ?
そんなもん明日だ明日。
今日はそんな事してる場合じゃねーんだよ。
俺のリフレッシュタイムなんだから…
まあ、やりすぎて情報聞き出す前に殺さない様にだけは気をつけないとなー。
さすがに死体になっちまったら読心を使っても情報はわからない。
「まずはこの時代の情報を集めてからだ。誰を引き入れればどこと敵対する可能性があるのかとか、どこを襲えばどこと敵対する可能性があるのかとかだな?」
「ならあたしに任せてよ。あたしが師匠に教えてあげるよ」
ミグは俺に言ったが俺は首を横に降る。
「お前絶対そうゆうの向いてねーだろ?お前がわかるのは、自分より強いか弱いかと、敵か味方かそれぐらいだろ?つーかお前それぐらいしか興味ねーだろ?」
ミグは俺の言葉に目を丸くする。
「わーおっ、さすが師匠。あたしの事よくわかってるね?」
「とにかく全ては明日だ。それまではそうだな…。リーゼっ」
「ん?パパ呼んだ?」
リーゼが転移してくる。
「しばらくミグと遊んでやれ。俺はまだ少し仕事がある」
「いいけどパパ?それホントに仕事?なんかパパすごく楽しそうだよ?」
俺はリーゼの言葉を無言で聞き流し、ダミーエルライド城のプレイルームに向かって歩き出した。
「全くパパはずるいんだから…」
「リーゼちゃんって言うんだー。小ちゃくて可愛いね?お姉ちゃんと遊ぼー?」
こうして俺達の出発は1日延びるのだった。




