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第302話古き時代のアルムス10


「シルビア様…これ俺達攻撃してもいいんですよね?」


「まっ待て…さすがに罠かも知れない」


シルビアは副官の1人に答えた。


そんな会話をしている間にも目の前では王級クラス同士の全力の戦闘が繰り広げられる。


「行けっ、火の精霊よ。全てを焼き尽くせっ!!」


「守護妖精っ。防衛してーっ!!」


王級クラス2人のぶつかりあい、そして攻撃の余波や流れ弾でダミーエルライドはみるみるうちに廃墟と化して行く。


だが、ここでプロトフィリアは気づいてしまった。

こんな事をしていればラグア様に2人共処刑されると…

まあ、ここまで気づかなかったのは救いようのないアホなのだが…

プロトフィリアは真っ青になりながら言う。


「待ってプロトフィリムっ!!さすがにヤバイって!!防衛ほっぽり出してこんな事してるのはさすがにヤバイって!!ラグア様達が戻ってきたら2人共消されちゃうって!!」


その言葉にプロトフィリムも真っ青になる。


「おい、どうする?そもそもお前の…」


「仲間割れしてる場合じゃないよ。コイツら皆殺しにして全部コイツらがやった事にしよう。それしか私達の生き残る道はないよっ!!」


「…いいだろう。一旦休戦だな」




「お前らやってくれたね?ここまで私を怒らせたのはお前らがはじめてだよ?」


生まれたばかりにもかかわらずプロトフィリアがそんな事を言った。

完全にうやむやにして仕切り直すつもりのようだ。


「よくも…よくも私達の偉大なる主であるラグア様の所有物を…貴様ら骨も残らないと思えっ!!」


悲しい事にプロトフィリムもプロトフィリアが立てたアホな作戦に乗っかった。


「行け、…バカな敵対者を消してこい」


シルビアは副官2人に指示する。


ちなみにさすがにシルビアはプロトフィリア達ほどアホではないので、既に自分が仕える大魔王ラグアとコイツらが言うラグアは別人だと言う事に気付いている。

おそらく大魔王の名を語る不届き者の類いだろう…

まあこんなバカ共に拠点を任せてどこかに行く時点で主人の器も知れている。

シルビアはそう判断した。




敵と副官達の実力は拮抗している…

頭は悪いが、実力はそこそこあるようだ。

おそらく一応幹部クラスなのだろう。

まあ、自分が入れば拮抗は崩れるがな?

さて、どちらから殺ろうか?

そう考えたシルビアが参戦しようとした時だ。


「!?っ」


唐突に感じる転移の気配…

これはバカ2人の力を大きく超える…

確実に帝級クラス…

それも下手すれば帝級中位クラスまでいっているかも知れない。


突如、上空に1人の女が現れる。

青い髪…

整った顔立ち…

子供ではないが、小柄な体…

そして放つ気配は圧倒的な強者のそれだ。


「プロトフィリア、プロトフィリム、ラグア様は少し遅くなる。先にアンデットの補充を………貴様ら死にたいようだな?」


ダミーエルライド王国の惨状を見下ろしながら、最高幹部セリーは言ったのだった。

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