第301話古き時代のアルムス9
「シルビア様、なんか拍子抜けですね。この国の連中も数こそ多いですが、外のヤツらと大差ないですよ?」
シルビアの副官の1人は言った。
四天凶星は三元魔の配下の存在で全部で12名いる。
四天凶星になれる条件は厳しい…
最低でも王級スキルが3つが最低条件だ。
シルビアは現在、王級スキルは4つ。
各三元魔配下の四天凶星の中では決して強くはない。
むしろ下から数えた方が早い。
三元魔達の四天凶星のトップには帝級クラスまでいる。
そして副官は、そんな四天凶星になれなかった者達の集まりだ。
ちなみにシルビアの副官は2人…
それぞれ王級スキルを1つずつ持っている。
「油断してはダメ。ここは敵陣のど真ん中。それに…」
シルビアはそんな副官の1人に向かって言いかけ、上空を見上げた時だ。
「あららー、やっぱり量産型アンデットじゃちょっとの時間稼ぎにしかならないかー」
「プロトフィリアっ!!もう一度言ってみろっ!!それはセリー様に対する侮辱か?」
「もー、プロトフィリムはうるさいよ?私が至高のオリジナルであり、偉大なる最高幹部のセリー様を侮辱なんかするわけないじゃん?もしかしてプロトフィリムはセリー様のアンデットが使えないとか思ってるの?うわっ…さすがにないわー」
「貴様ぁぁぁ!!今すぐその羽毟ってやるわぁぁ!!」
「わっ、バカっ、やめろー。侵入者を目の前にして私に向かってくるとかお前頭わいてんじゃないのっ!?」
「…いったい誰のせいだ羽虫がっ!!」
「いやわかってる?それブーメランだよ?」
プロトフィリアとプロトフィリムは互いに罵り合いながらシルビア達3人の前に降り立つ。
シルビアは上空から降りてきた2人を分析する。
実力はおそらく王級になったばかり…
せいぜい副官2人といい勝負…
シルビアはそう判断して言う。
「汝等の行為は大魔王ラグア様に対する宣戦布告と判断した。今すぐ降伏するかさもなくば…」
そのシルビアの言葉に最初に反応したのはプロトフィリムだった。
「貴様ぁぁぁ!?セリー様を侮辱したばかりか、ラグア様に宣戦布告だとっ!?この場で私が処刑してやるわぁぁ!!」
プロトフィリムはそういいながらもプロトフィリアに攻撃を仕掛ける。
「いや、待てって。あの言い方を聞くにお前もだから…、私は身に覚えがない。つまり処刑されるのはお前だよ?」
プロトフィリアも今度は応戦する。
〜
なんだこの状況は…
シルビアは目の前で繰り広げられている光景に唖然とする。
自分はただ敵に降伏を促しただけだ。
結果、何故か敵は仲間割れをはじめ本気で殺し合いをはじめた。
訳がわからない…
お互いの実力は拮抗し、致命傷は与えられていない。
ただ一つだけ言える事がある。
コイツらはアホだ。
シルビアは思うのだった。




