第299話古き時代のアルムス7
「ミグっ、お前はバカなのか?あれだけの化け物だぞ?裏がないわけねーだろ?」
「まあまあジオっち。師匠はいい人だよ?これからジオっちの国も森羅万象とか言うすごい技でイグロシアルに持ってくるって言ってるし?」
「妾も反対だ。ヤツは危険すぎる。ジオの言うように目的が不明なのもそうだが、未来のお前がヤツと敵対した理由も気になる」
「ミュラっちも心配しすぎだよ。ミュラっちの家族もこっちに呼んでくれるみたいじゃん?後はシーラちゃんとギゼル君達かな?とりあえず、あたしはこれから師匠と一緒にアルムスに行ってみんなを連れてくるね」
ミグは既にミュラやジオの話など聞いてはいない。
ここはエルライド城の特別室…
ラグアとの対話の結果、ミグに与えられたこの星での立場は特別王族…
要はカティアやノーマンと同格…
同盟国のウリンや九天達とは微妙に立場は違うが、彼女ら共、対等と言えるだろう。
ミグは部屋を出て行くのだった。
〜〜〜
時は少し遡る。
場所は太古のアルムスにラグアが作り出したダミーエルライド王国…
ラグアはミグを懐柔した場合、ここを前線基地として使うつもりだった。
現在も当然無人ではないが、壊されてもまた作ればいいだけなので、重要度はかなり低い。
目立った戦力はエルライド王国中に散る、10億の量産型アンデット…
そしてそのアンデット達の指揮官である玉座の間に待つ2人の女…
女の1人は言う。
「はあー。お留守番も暇だねー?つーか、あんた無口だね?オリジナル様達は姉妹みたいだし、もっと仲良くしようよ?」
「別に用もないからな?そして我々はオリジナル様ではないから必要以上に馴れ合う必要もない」
もう1人の女が答える。
「プロトフィリムもつれないなー。どうせ暇なんだからお喋りぐらいしよーよ?」
「悪いなプロトフィリア。必要性を全く感じない………ん?」
ダミーエルライド王国指揮官の1人プロトフィリムは玉座の間の窓の外に視線を向ける。
「あっ、侵入者みたいだね?退屈凌ぎにはちょうどいいね」
「…退屈かどうかは別として仕事はする。出るぞ?」
「はいはい、それじゃー私達もセシル様達みたいに幹部にとりたててもらえる様にしっかり働こうかな?」
プロトフィリアは妖精族特有の羽を広げると笑みを浮かべて言った。
「そこに関しては同感だ。はじめて意見があったな?」
プロトフィリムも羽を広げて飛び立つ。
「じゃー出発ー。目標は撃破、無理ならラグア様か偉い人達が来るまで時間稼ぎって事でー」
「…間違いではないが、仕切るな。私は好きに動く。それにその偉い人達って呼び方なんとかならんのか?お前が言う偉い人達は特別幹部以上の偉大なる方々だぞ?」
こうしてプロトフィリア、プロトフィリムのプロトクローンの凸凹コンビは出撃する。
そこにはフィリア達姉妹にはある、お互いに対する信頼などは欠片も感じられなかった。




