第296話古き時代のアルムス4
「誰?あたしより強いヤツは全員覚えてるはずなんだけど?」
ミグは俺の適当なあいさつに対してそう言った。
「あ?俺はラグア・エルライド。まあ、ちっと未来から来た。まあ簡単に言うとアレの持ち主だ」
俺はそう言いながら空の一点を指す。
そこにあるのは当然イグロシアル…
森羅万象でアルムスのかなり近くに出現させた為、昼間でも目視する事ができた。
ミグは状況を確認する。
ミュラっちは…
ダメだ。
逃げるどころかとても話せる状態じゃない。
ジオっちは…
あたしと始めてあった時の様な軽薄な笑みを浮かべてる。
突貫するつもりか?
さすがにそれはやめさせないと…
ミグはそう思い、重力帝を発動させてジオの動きを止める。
「やめろミグっ!!相手はラグアの名前を語るイかれた化け物だ。俺が時間を稼ぐからその間に…」
「残念だけどジオっちじゃ時間稼ぎにすらならないよ。この中で多少なりとも勝負になるのはあたしだけだよ!!」
ミグはそう言うと構える。
〜
うーん、上手くいかねーな。
なんでこうなるんだか…
俺は思った。
当初俺はミグを平和的に連れ出す予定だった。
結果は一触即発みたいなこの状況…
力で黙らせて拉致るか?
いや、ミグの性格を考えたらそれはやめた方がいい。
何回殺されても向かってくる俺とは違う意味でのキチガイだ。
ここで拉致っても行き着く先は敵対でしかない。
それでは本末転倒だ。
俺は口を開く。
「おい待てやっ、俺は別に争うつもりはねえ。まあどうしても争うっつーなら1人も逃すつもりはねえけどな?それでもいいなら来い。まずは後ろの2人を殺る」
脅し…
それもミグの性格を熟知しているからこその…
アイツは単身でいや、半ば独断行動とも言える行動が目立つが最初のジオの件の復讐でもわかるように異常な程仲間には執着する。
俺の言葉はそう思ってのものだった。
〜
なんだコイツは…
的確にあたしの弱いところをついてくる。
しかも初見でだ。
過去にも初見ではないが、同じ様な事を言ってきたヤツはいた。
だが、それらは全てあたしより実力の劣るもの達だ。
コイツはそんな搦め手を使う必要じゃない程の強者…。
その気になれば一瞬でミュラっちやジオっちは消される。
残ったあたしも多少は粘れるかも知れないが、逃げる事もできずに殺されるだろう。
ならばコイツの目的は?
ミグは答える。
「いいよ。ラグアって言ったね?何が目的かな?断る選択肢は無さそうだし話合いには応じるよ」
ミグは言ったのだった。




