閑話ミグ・ヒピー過去編(第二回人気投票特別編)
今回はミグ・ヒピー過去編です。
これからアルムス過去編に入りそうな流れなので今回の機会にちょっと書いてみました。
これは神魔大戦がはじまる千年程前の話である。
〜〜〜
「ああーもうっ!!また負けたー!!」
ミグ・ヒピーは地面に倒れ伏しながら叫んだ。
「相変わらずアホだねー。神級に片足突っ込んでるウチにミグが勝てるわけないじゃん?」
ミグの前に立つ女、シーラ・ベルネイアは言った。
「絶対勝つよ。あたしはシーラちゃんに勝ってあのラグアすら倒す神になるんだよっ!!」
「はいはい。頑張れ頑張れ。まあウチも久々に遊べて楽しかったよ」
ちなみにミグが言うラグアは現アルムス最強の魔王、初代ラグアである。
邪神エリローズと共闘してからはその勢いはとどまるところを知らない。
その力は既に下級神に匹敵するという…
「まあ、またおいでよ。あんたはウチの数少ない友達なんだからさ?」
シーラは言った。
「うん。またくるね。次こそはあたしが勝つよ?」
「一回も勝った事のないくせによく言うわ。まあ気長に待ってるよ。ウチらの寿命はないに等しいし」
〜
シーラと別れたミグは1人空を飛んでいた。
帝級スキル、重力帝を応用しての技だ。
当時のミグはアルムスでも強者に分類されるが、それでも帝級の中では強い方という程度のものである。
現在の帝級スキルは5つ。
この程度は当時のアルムスには普通に存在する。
人類最強の勇者だと言うカダル・ミルレウスをはじめ、自分よりは少し落ちるが覇王と呼ばれる存在…。他にも帝級スキルを複数持つ化け物達はこの時代には数多くいる。
中でも確実に自分以上の存在はアルムスを創り出した創造神を除いて4人…
まずは先程あったばかりの半神シーラ・ベルネイア…
名実共にアルムス最強クラスだ。
本人にもう少し野心があれば、今頃はラグアと並んでアルムスの頂点に最も近い存在と揶揄されていただろう。
次にラグアの側近の三人…
テオレーム・クリムゾン
ロロ・ベアトリクス
ソドム・グラファル
アルムスの帝級最強と名高い化け物達…
そしてその三人を従える魔王ラグア…
現在はラグア・ベルゼ・アルムスと名乗っているアルムス最強の魔王…
「はあー、あたしももっと強くならなきゃ」
ミグは呟く。
そんな時だ。
「ん?」
上空から見える範囲で戦闘中の存在がいる。
「まあ特にすることもないし、暇つぶしにはちょうどいいか」
ミグはそこに降りる。
〜〜〜
「ぐっ…発動、王級スキル、血の王」
「ちっ、この女まだ足掻くか」
飛び散った血痕が王級スキル、血の王により次々と男を襲うが、男は意に介さない。
当然だ。
男は帝級クラスで押されてる側の女は未だ王級クラスなのだ。
ここまでか。
押されてる側の女、ミュラ・ゾフィスがそう思ったその時だ。
「わー。綺麗な赤髪だねー。吸血鬼さんかなー?王級なのに帝級相手にそこまで粘れるなんてすごいねー」
突如、上空からまだ年端もいかない少女にしか見えない存在が降りてきて言った。
「おっおいっ!?ここは危ない今すぐっ…」
「こんな状況なのにあたしの心配するとかもしかしていい人なのかな?」
なんだこの掴みどころのないヤツは調子が狂う…
ミュラはそう思いながら言う。
「だから…」
ミュラがそう言いかけた時だ。
「何、俺を無視してんだー!!」
男が少女を襲う。
おそらく2人まとめて塵も残らないだろう。
ミュラは思った。
だがそうはならなかった。
「うっさい。今こっちの子と話してるんだよー。発動、魔道帝、マジックハザード」
轟音…
クレーターどころの騒ぎではない。
一撃で星の形が変わってしまった。
そんな直撃を受けた男は確実に塵も残らず消滅してしまった。
だが少女はそんな事にまるで興味がない様に言う。
「はじめまして、あたしはミグ・ヒピー。そっちは?」
「……妾は…ミュラ・ゾフィス…」
ミュラはそう言うので精一杯だった。
「そっかー。じゃーミュラっちって呼ぶね?これからよろしくね?ミュラっちー」
少女ミグはミュラに向かって笑顔でそう言った。
これがミグとミュラの最初の出会いであった。




