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第291話焦熱


「!?っ、誰だ貴様はっ?ミグの体から今すぐ出て行けっ!!」


そう叫んだのジオだ。

ちなみに戦いが終わった後のこの場所にはミュラやジオの他にもミュンやシーラ、ギゼルやミスト、そしてロロといった面々までがこの場にいる。


そんなジオの言葉にミグと言えるのかわからない存在は答える。


「おいおい?俺は紛れもなくミグだぜ?まあ、お前らにとってのミグは無限だけみたいだがな?俺は焦熱…。ミグ…いやヘルスライムは異なる6体のスライムの集合体だ。無限はミグ・ヒピーの主人格なだけで俺の他にも俺みたいなヤツらが4体いるんだぜ?俺個人的にはけっこう長くお前らと過ごしていたと思うんだけどな?ジオっちよお?」


ジオは思い出す。

そう言えばかなり昔、ミグがそんな事を言っていた記憶がある。

ジオは言う。


「ならミグは…いや、無限は…」


「死んだよ。ラグア一派との戦いに負けてな?じゃなかったら俺は出てこれねー。俺の肉体支配権は無限より下だ。無限が健在なら俺が出てくる事はねーよ?」


「…焦熱と言ったな?妾からも一ついいか?」


「なんだミュラっちよお?」


「やめろ。ミグ以外のヤツが妾をそう呼ぶな」


ミュラは静かにだが殺気を込めて言った。


「わかったよ。無限の仲間だ。俺も敵に回すつもりはねーよ。でなんだ?」


「焦熱はミグの体の支配権が移ったと言ったな?ならば黄泉の神でミグ…無限を生き返らせる事は…」


焦熱はミュラが言い終わる前に答える。


「無理だな。黄泉の神で生き返らせる事ができるのは、ミグ・ヒピーだ。つまり俺達がいる限りミグは死んだ事にならない」


焦熱のその言葉で集まった面々は一斉に戦闘態勢をとる。


「あーやめとけ。お前らじゃ俺に勝てない…。つーか無限の仲間なら黙って殺されてやってもいいが、お前らにミグ・ヒピーのオリジンゴッドの肉体を、そしてこの自動発動の黄泉の神を削り切れるのか?」


ミュラ達は焦熱の言葉に黙りこむ。

焦熱は続ける。


「それに仮にそれを削り切れたとしよう。だが、忘れてないよな?最後の黄泉の神を使う時、帝級スキル地獄帝が消滅する。その段階で俺達はヘルスライムではなくなり俺達は元の6体のスライムに戻る。そして帝級スキルは一つで3回の黄泉の神を使う事ができる。この意味がわかるか?」


ミュラは思う。

つまり仮に削り切れたとして、自分達の知っているミグが復活する確率は半分…

いや、待て。

なら先に地獄帝を黄泉の神の生贄にしてしまえば…


「何を考えてるかはだいたいわかるが、それやっちまうと更に確率は減りは6分の1だ」


ミュラは焦熱の言葉で再び泣き出しそうになる。


その時、唐突にシーラが言う。


「なあ?ウチ難しい事はわかんないけど、地獄帝消してミグが分離したところで、それがミグ以外だったらその違う人の黄泉の神でミグを生き返らせればいいだけじゃない?ついでに焦熱って人達も全員生き返らせてから融合すれば全部元通りじゃない?」


シーラのその言葉に、その場は静まりかえるのだった。

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