第285話滅亡と死神
ジジイの首からは滝の様な血が流れ続ける。
このままでは失血死も時間の問題だろう…
それに既にジジイの意識はない。
ジジイはもう終わりだ。
だが問題はそこじゃない。
このままジジイが死ねばどうなるか…
おそらく神格エネルギーと概念は直接の死因であるミグの方にいく可能性が高い。
俺はジジイにとどめを刺す為に跳躍する。
狙うは心臓…
倒れている体制のジジイでは掌打で心停止させるには威力が無さすぎる。
膝に全体重を乗せてジジイの胸にぶち当てる必要があった。
「ねえラグア。後にも先にもお前がはじめてだよ。あたしに勝ったのは…だから…」
ミグは呟いた。
俺の膝がジジイの胸に届く数センチ前…
突然俺に力が戻るのを感じる。
ジジイが死んだか?
いやもう少しはもつはずだが…
どっちにしろ力が戻った時点で今度は神格エネルギーが込められる。
どの道ジジイは終わりだ。
俺は構わず攻撃する。
その時だ。
ジジイの目が突然開く。
「だから、例え二度と元に戻れなくなったとしてもお前に勝つ為ならあたしはなんでもやるよ?」
激突…
俺の神格エネルギーを込めた膝落としはジジイの胸に激突するが、何事もなかったかのようにジジイは立ち上がる。
「あーあ。概念、転生消えちゃった。これって使い捨てなのかな?そんでもって黄泉の神はあたしの体に残ったか。まあみんなにかかった分は消えてないみたいだしいいけどね?」
俺の目の前にいるのはジジイのはずだが、それはもうジジイではなかった。
そして今までミグがいた場所には抜け殻の様に少女が倒れている。
「あーその体はもういらないから好きにしていいよ?ただ黄泉の神を持ってるから気の遠くなる回数勝手に復活するから覚悟しといてね?でもさすがにその体が消されちゃうとミュラっち達が復活できなくなっちゃうから困るけど…」
ジジイ…いや、ミグはそこで一度言葉を切る。
「まあ、それまでにお前との決着もつくだろうしね?発動、アンチステータスゾーン」
ミグの言葉で俺の体から再び力が抜ける。
「キャハハハっ!!さあラグア。お前が勝つかあたしが勝つか、最後の戦いだよ。とゆーかあたしが勝つまで終わらないよ」
「顔と喋り方があってなくて気持ち悪りーよ。上等じゃねーか。来いや。二度と化けて出ねーようにしてやるよ?」
こうして再び、俺とミグは半壊したアルムスでステータスが封じられた戦いをはじめるのだった。




