第280話白と青10
ミグがダミーエルライド城に乗り込んできてから約一時間…
俺とミグは戦闘を繰り広げていた。
と言っても一方的にミグにやられて俺が復活してを繰り返しているだけだがな…
ミグは最初の一回を除いてゴッドバーストを使っていない。
まあ俺がアイツの立場でも使わない。
膨大使用回数があろうが、回数制限のあるゴッドバーストは極力使わないのは当たり前だろう。
それにミグが今の俺を相手にするのにゴッドバーストなどいらない。
神格エネルギーでも単純なステータスでもオリジンゴッドのミグと一応はオリジンゴッドではあるが、下級神クラスにまで力が落ちている俺とでは比べるまでもない。
既に数え切れない程の数殺されている。
だが殺されながら思い至った事がある。
まず何故ミグは、このタイミングで仕掛けてきたかだ。
本気で奇襲を成功させるつもりなら、わざわざこのタイミングで仕掛けてくるのは不自然すぎる。
例えば俺がミグの本体を鑑定する前…
もっと言えば俺達がアルムスに降りてきた時点で奇襲を仕掛ければ、俺の対応は遅れて確実にゴッドバーストを一発は食らっていた。
つまりミグは自らの意思でこの状況を作り出したって事だ。
そしてそれが示す事は…
ミグは無敵じゃないって事だ。
俺とエリローズ、そしてウルドナートを加えて3対1で確実に勝てるならアイツはこんな事はしない。
なら今すぐエリローズとウルドナート、更に俺の神格エネルギーを戻すか?
いや、ミグの弱点があるのは確実だが、それが割れてない以上その選択は危険すぎる。
そしてもう一つ気になる事それは…
俺がそんな事を思った時だ。
突如アルムスの空が二つに割れてその隙間から1人の神が現れる。
俺は最悪の予想が当たったのを確信した。
「久しぶりだなラグア。よもや儂の顔を忘れた訳ではあるまいな?」
クソがっ
このタイミングで最高神のジジイかよ。
これで確定した。
ミグとジジイが組んでいる事が…
アイツの概念である調停と分譲は、俺の概念、不滅にも通用する。
その上今の俺とジジイでは、神格エネルギーは天と地の差…
マジでヤバイだろ…
てかコレ終わっただろ…
「ジジイぃぃぃ!!上等じゃねぇかぁぁぁぁぁ!!今すぐぶち殺してやらぁぁぁぁぁ!!」
こうなればもうヤケだ。
エリローズ、ウルドナート、そして俺の神格エネルギーを戻して玉砕特攻。
万に一つかも知れないが、勝率があるのはこれしかない。
俺が神格エネルギーを戻そうとした時だ。
『ラグア様、それをするのは少し待って下さい』
俺の頭の中に唐突に声が聞こえるのだった。




