第270話滅亡の再臨2
さて、俺がアルムス全域に無差別攻撃をはじめて丸一日がたった。
まだ敵国に辿りついていないアンデットはともかく、近くの国では既に戦いがはじまっている。
アルムス各地では第三次神魔大戦が起きただとか、白い滅亡が帰ってきたとか、ちなみにこれは俺の事らしいが騒いでいるのが神の千里眼を通して伝わってくる。
だが、逆にまだミグ達にまだ動きはない。
いや正確に言えば13魔王勢力の一部は前線に出てるが、ミグ達と関わりが深い連中の動きはない。
現在前線で姿が確認されているのは、レティス・ラファエル、そしてゼブル・ガイウスの2名。
まあミグ達の居場所はわかっているが、ヤツらを同時に相手するのは正直きつい。
あ、そういえば今思い出したが、リーゼに捕虜の処理を頼まれてたわ。
ミグ達が動いてないうちにその辺は終わらせとこう。
俺は森羅万象を発動させてある者を呼び出す。
〜
「よお?久しぶりだな。直接会うのはリース森林国以来か?」
「らっラグアっ!?…様」
呼び出された者…
リリス・ヘヴンは顔を真っ青にしながら答えた。
「そーいえばミグの乱入でうやむやになったが、確かお前はあの時俺の同盟国に喧嘩売ったよな?」
「それは…知らな…」
「そうか。つーか理由はどうでもいい。俺はただ俺の邪魔になるヤツを消す。それだけだ」
「今の私はラグア様に敵対するつもりはありません。ですので同盟を…」
俺はリリスが言い終わらないうちに言う。
「何を勘違いしてる?お前と俺が同盟を結ぶ事に何の意味がある?つーか俺のメリットが感じられない。他の同盟国の連中は、必ずそれに至った理由が少なからずある。例えばリース森林国との同盟は当時アルムスの勢力の情報が欲しかったとかな?」
まあ今はカティアとの友人関係を壊さないために結んでいるって言ってもいい。
色ボケ女だがあんなヤツでも俺にとってはこの世界でできたはじめての友人だ。
まあ、これは誰にも言うつもりはないが。
ラグアはカティアに対してそんな事を思っているが、そんなラグアの想いはカティアに対して全くと言っていいほど伝わっていない。
「それは…」
リリスはラグアに同盟のメリットを提示できなかった。
そもそもそんな物はないのだから。
戦力差は比べるまでもない。
技術力はウリンと同盟を結んだラグアに勝てる訳もない。
情報は…
おそらくラグアに対抗できる勢力はミグ達ぐらいだが、ラグアが同盟を結ぶのに値する程の情報を差し出せと言われれば無理だ。
マズイ…
このままでは自分は殺されてしまう。
考えろ。
リリスはなんとか捻り出した言葉を言う。
「私はラグア様に提供できるような物は何もありません。ですが、これからラグア様のお役に立てるように努力させていただきます」
「言ったな?」
俺は広角を吊り上げて言った。
「これからセシル達はゾフィス夜王国の跡地を叩く。そこに合流しろ。地下からヤツらの気配を感じる。ミグだけは、気配を隠してるみてーだがいるのは確実だ。俺にお前の価値を示せ」
リリスはたった今言った言葉を盛大に後悔した。




