第261話龍王星侵略戦3
ソドムはミグに神通を繋ぐ。
『ミグ、頼むやってくれ』
『最後の確認だよ。本当にいいんだね?』
『ああ、儂は今二代目ラグアの犬共に殺されかけている』
『つまりその状況をひっくり返してほしいと?』
『ああ、間違ってない』
『わかった。あとは任せて』
そこでミグとの神通はとぎれる。
「さて、そろそろ終わりにするとっ!? 」
エリスが言いかけたその時だ。
突如龍王星が鳴動する。
そしてとてつもない存在がこちらに転移してくるのがわかる。
かつて一度シーラに殺されかけているエリスの判断は早かった。
「撤退する」
「だが…」
エリスは何か言おうとしたフィローラを無視して強制転移をかける。
外にいるフィリアも含めてだ。
自分より上位に位置するものにこの様な事をするのは完全に不敬にあたるだろう。
だが今はそんな事を言っていられる状況ではなかった。
エリスの剣幕に圧倒されたのか、フィローラ達も特に抵抗しないまま転移は成功する。
転移が発動する直前にエリスが見たのはミグ・ヒピー、そして恐ろしい力を持った見知らぬ男だった。
〜〜〜
「申し訳ございません」
数時間のんびり地下で遊んで出てきた俺を待っていたのは、土下座状態のエリスだった。
そして俺が帰ってきた時には既にこの状態だった。
一体いつからやってるんだ?
俺はそんな事を思う。
「エリス、お前には龍王星の侵攻を任せてたはずだ。失敗したのか?」
「はい。申し訳ございません。いかなる罰でもなんなりと…」
いやそうゆう事じゃねーよ。
俺は心の中で突っ込みながら言う。
「俺はお前らが出て行ったのを見てから地下にこもった。そのメンバーを見る限り過剰戦力と言ってもいいぐらいだった。何があった?」
「ソドムとの戦いの自体はこちらが圧倒的優勢で全員で挑めばこちらの被害は一切出さずに完勝できると判断し、その様に指揮したのですが…」
俺はエリスの言葉を黙って聞く。
「追い詰められたソドムが何をしたのかは正直わかりません。ですが、突如強い力がこちらに転移してくるのを感じました。こちらに転移してくる強い力は2つ。弱い方はシオンと同格、強い方は私程度では力の底を見る事もできませんでした。転移が発動する直前にミグ・ヒピーを確認しました。おそらく弱い方かと思われます」
「おいっ、被害の状況は!?」
俺は若干声を荒げて言った。
ミグ・ヒピーにエリスでも力の底を見れない程の強者…
今回はオリジンゴッド以外のほとんどの神級を投入している。
状況が状況なだけに多少の被害は仕方がないが、エリス以外全滅とか最悪の状況はやめてくれよ?
俺はそんな事を思う。
「接触する前に撤退したので、こちらの被害はありません。大役を任されておきながら失敗したばかりか、何もする事もなく逃げ帰ってきてしまい、謝罪する言葉もございません。いかなる罰でも謹んで…」
俺はエリスがいい終わる前に口を挟む。
「よくやった。この状況で被害が出なかったのは奇跡と言ってもいい。今回の作戦をお前に任せてよかった」
うん。
マジでエリスに任せてよかったわ。
エリスの判断が遅ければ最悪全滅していた。
とゆうか今回はミグの動きを読みきれなかった俺のミスが大きい。
まあ、それは絶対言わないが…
「もっ勿体無いお言葉ですっ!!ですが私はラグア様のご命令も果たせず失敗を…」
「くどいぞ?エリス、お前の判断は正しい。よくやった。下がってゆっくり休め」
「はっ、寛大な主に仕える事が出来私は幸せにございます」
エリスは最後にそう言って下がっていった。
クソっ、今回ミグが動いたのは完全に予想外だった。
これはいろいろと計画を見直す必要がありそうだ。
俺がそんな事を考えていると…
部屋にノックの音が鳴り響く。
「入れ」
入ってきたのはフィリムだった。
「ラグア様、至急ご報告が…。4時間程前、リーゼ様とセリーがアルムスに降りました。一応セリーはリーゼ様を止めた様なのですが…」
は?
なんで俺がいねー時にばっかり問題ばっか起きるんだよ?
「今すぐあのバカを連れ戻せっ!!」
俺は八つ当たり気味に叫ぶのだった。




