第244話新生ドーラス王国
立ち並ぶ近代都市…
賑わう商業区…
そんな繁華街に二人の男女がいた。
「やっぱりちょっと遊んでからいかない?」
「ノーマン様、ラグア様から任された大役をお忘れですか?」
ノーマンの立場は特別王族で、統括としてラグア配下の最上位のエリスより更に上だ。
そもそもノーマンはラグアの配下ではない。
特別王族はラグアの友の証…
その称号を持つ者はかなり限られる。
もっともこれから迎えに行くカティアもその1人なのだが…
そんな時、急に繁華街から会話が聞こえる。
「おっおい!?あれ…」
「誰です?あ、綺麗な人ですね?デートでも誘ってきますね?」
最初に驚いた声を出したのは、50代ぐらいの男で後から答えたのは20代半ばぐらいの男だった。
「馬鹿野郎っ!!あれはエリス様だ。俺は若い頃に一度見た事がある。ナンパなんかしてみろ?八つ裂きじゃ済まねーぞ?」
男達の声は伝染し、繁華街は騒がしくなる。
「!?っエリス様っ!?本物だよな?」
「いっしょにいるのは誰だ?」
「バカかっ!!エリス様といっしょにいるんだっ!!確実に特別幹部以上に決まってるだろうがっ!!」
実質的にエルライド王国を統治していたエリスはエルライド王国出身者と関係国などから成る、新生ドーラス王国のある程度の世代には顔を知っている者も多い。
「ノーマン様、騒がしくなってきました。迅速に役目を果たしましょう」
エリスとノーマンは新生ドーラス王国の王城に向かう。
〜〜〜
時は少し遡る。
新生ドーラス王国、新緑の女王カティア・ドーラスは城の玉座で今日の謁見の2つ目を終わらせ、次の謁見までの間に先日の報告資料に目を通していた。
報告内容はこうだ。
突如アルムス近郊に巨大惑星出現。
詳細は不明。
要調査が必要。
つまり何もわかってないと言う事だ。
カティアはため息をつく。
だが、こんな大それたやり方を好む存在をカティアは一人知っている。
そして、その最悪の予想が当たっていれば確実に自分のところまで来る事も…
この30年と少し、ラグアがいない間は実に平和だった。
アルムスに転生してここまで充実した日々はなかったと思える程に…
余談だが、カティアの見た目はラグアといた時から特に変化していない。
それはカティアがドワーフ国家、ドーラス王国の5王の1人であるのが大きい。
カティアはその技術を使用した事により、人工固有スキル、不老を獲得していた。
そんな時部屋にノックの音がする。
次の謁見だろうか?
少し早い気がするが…
カティアは答える。
「入って」
入ってきたのは自分の腹心…
ラグアで言うエリス的な立場の者で名前をミリアと言う。
カティアの前に跪き言う。
「カティア様、新たに謁見をしたいと申してる者が2名いらっしゃってます。ですが本日は予定が立て込んでるのでお断りしてもよろしいでしょうか?」
「ミリア、その相手はなんと名乗ってるの?」
カティアは予想が当たってほしくないと言う願いを込めて聞く。
「はっ、謁見を希望してきた2人の男女は男の方はノーマン・ゲンガンと名乗り、もう1人の女はエリスと名乗りました。家名はないようですからおそらく従者でしょう」
カティアはミリアの報告を聞いて頭を抱える。
「今日の謁見は全部中止っ!!すぐにその2人を通しなさいっ!!」
「ですが…今日の謁見は他国の要人も…」
「グズグズしてるとこの国ごと更地にされるわっ!!急いでっ!!」
「!?っ、はっ!!」
ミリアは真っ青な顔で部屋から出て行く。
おそらく自分も似たような顔をしているだろう。
カティアはもう一度大きくため息をつくのだった。




