第242話カティア、シュドレ奪還計画
「ラグア君、カティアちゃんのところには僕が行くよ。この中じゃ一番カティアちゃんと仲が良かったし」
俺の宣言を聞いて、一番最初にそう発言したのはエルライド王国、特別王族兼食客…という名の穀潰しノーマン・ゲンガンだ。
まあ、戦闘じゃない予定だから別にノーマンでもいいけどさ…
流石にノーマン1人じゃ戦力的に不安が残る。
俺は言う。
「それは別にいいが、1人で行かせるのはな…。エリス、ノーマンの護衛にはお前がつけ」
「はっ」
よし。
これでカティアの方はまとまった。
残るはシュドレの方だが、まあアイツが適任だろうな…
「エミリー、シュドレの方にはお前が行け。護衛にはフィリア、お前がつけ。もちろんシオンも連れて行けよ?」
「「はっ」」
よしこれでシュドレの方のメンバーも決まった。
シュドレは元々エミリーの部下だったらしいから、これ以上の適任はいないはずだ。
「それからエリローズ、ウルドナート、お前らは俺と共にここで待機だ」
「はいラグア様」
「わかったよ」
エリローズとウルドナートがそれぞれ返事をする。
「決まったな?今言われたメンバーは各自散れっ!!」
「「はっ」」
俺の配下達はそれぞれ散る。
〜エルライド城、ラグアの自室〜
さて、会議は終わったが俺にはまだやる事がある。
そう、コイツをどうするかだ。
俺の目の前に座っているのは、ウリンにより生み出された不可抗力でできてしまった俺の娘リーゼ…
ちなみに俺の自室は豪華なだけで至って普通の部屋だ。
ここはプレイルームではない。
本当は会議が終わってたら、そのままプレイルームで過ごす予定だったがそうもいかなくなった。
俺は口を開く。
「よお、俺はラグアだ。お前言葉はわかるよな?」
「うん、ちゃんと話すのははじめてだねパパ。それからお前じゃないよ?リーゼにはリーゼって言うママに付けてもらった可愛い名前があるんだから名前で呼んでね?」
リーゼは少し怒気の含んだ声で言った。
その怒気に若干の殺気が混ざっているのは、まるでコイツが俺の娘だって事を突きつけられているようだ。
「ああわかった。リーゼ、不可抗力で生まれたとは言え、お前をどうこうするつもりは俺にはない。この際俺の娘を名乗る事は構わん。城の中でも好きにしていい」
俺は言った。
生まれたばかりの自分の娘を殺すつもりはさすがにない。
半分俺の細胞から生まれたせいだろうが、なんとなく俺に似ている。
だからこそわかる。
コイツは俺と同族…
もし日本で生まれてたら、完全な社会不適合者だろう。
こんなヤツ生まれて来なければよかったのに…
お前は生きていちゃいけない人間だ…
早く死刑になれよ、それが一番の社会貢献だよ…
過去もそして今も、そう言われ続けた俺だからこそ、コイツに少し情がうつったのかも知れないがな…
こうして、会議終了後、ラグアとリーゼの歪な父娘の会話はスタートする。




