閑話主人なき亜神
今回はテオレームの閑話です。
時は第二次神魔大戦まで遡る。
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憎い憎い憎い憎い…
全てが許せない。
エリローズ様を別次元に追いやった最高神も、エリローズ様の邪魔をした二代目ラグアも…
どいつもこいつもエリローズ様の崇高な目的の前には、無価値に等しいのに何故それが分からない?
理解できない。
そして何故エリローズ様は、最後に自分ではなくあんなヤツを選んだ?
自分は誰よりもあの方の為を思って行動しているのに…
テオレームはラグアとエリローズが消え去ったのを神の千里眼で見届けた後、一人そんな事を考える。
だが、自分がやるべき事は変わらない。
今までもそしてこれからも…
自分はただ待ち続けるだけ。
主人が帰る日を…
何しろ1000万年近く待ち続けたのだ。
今更例え数十万年待ったところで誤差の範囲だ。
だが、今回の事で1つ学んだ。
自分は今まで自惚れていた。
神にさえなれば、エリローズ様のお役に立てると思っていた。
だが、それは間違いだった。
今の自分ではエリローズ様の敵である最高神を倒す事はおろか、エリローズ様の邪魔をしたラグアにさえ勝つ事はできない。
あげく自分の制止は全く聞いてもらえず、最高神との決死の戦いの時に隣に立つのも、自分ではなく邪魔をしたラグアに奪われる始末…
屈辱だ。
こんなの屈辱以外何物でもない。
テオレームは思った。
テオレームは転移を発動させる。
行き先は自分の星ではない。
アルムスの外…
つまり他の星である。
一応アルムスの衛星である、自分の星には分体を置いて来ているが、それはエリローズ様が帰られた時にすぐにわかるようにする為である。
そして自分自身が宇宙空間から他の星を目指すのは、アルムスではこれ以上の成長が望めないからである。
ラグアと繋がっている、ゼギウスやセルナースはエリローズ様が帰ってきた時の為に倒すわけにはいかない。
そもそも挑んでも勝率は5割程度だ。
グロムスとソドムは倒す事自体は問題ないが、そちらも勝率は5割…
エリローズ様の為ならともかく、今はそんな賭けの様なことをする訳にはいかない。
また、半神シーラ・ベルネイアや帝級クラス達は高い確率で勝てるだろうが、そっちに手を出せば確実にロロが出張ってくる上、エリローズ様とラグアの最後の会話を聞く限り、ミグ・ヒピーが蘇る確率はかなり高い。
危険度で言えば、グロムスとソドムの方がまだマシだ。
もうアルムスに残る必要はない。
帰るのは、今言った勢力をどうにかできる力を得た時だ。
もし、それより先にエリローズ様がお帰りになった時は分体でしか出迎えできないのは、申し訳ないがこれもエリローズ様の為だ。
こうして主人なき亜神、テオレーム・クリムゾンはアルムスから飛び立つ。
ここにはいない、主人の隣に立つ日を夢見て…
次回はミグ・ヒピーの閑話です。




