第225話九天大戦16
〜ダミーエルライド王国、近郊〜
「てか、セリーお前、仮にも女なら男が助けにきたら喜ぶとこだぜっ!?それを惑星を破壊しかねない程の技をのせてぶん殴るとか、頭おかしいだろっ!?」
ライナーは必死に叫ぶが、悲痛な叫びはセリーには届かない。
「ライナー、その答えは助けに来た者に対して嫌悪の感情を抱かなくてはじめて成立する。1つ断っておく。はっきり言って私はお前が嫌いだ」
この時のライナーのダメージは計り知れない…
ライナーはただ同期として仲良くしたかっただけなのだ…
だが、現実は残酷だった。
そしてライナーが次にした行動は…
「貴様らぁぁ!!全員手足切りとってダルマにしてラグア様に捧げる供物にしてやらあぁぁ!!」
壮絶な八つ当たりだった…
普段は比較的温厚なライナーから発せられるのは、強烈な殺気…
ライナーの神級寸前の圧倒的なオーラは敵対者を震え上がらせる…
「…ウラドス、勝てると思う?」
ナタリーは笑う膝をどうにか抑えながら言った。
「バカかっ!?終わりだ。次元が違うわ!!あれに比べたらさっきまで戦っていた、セリーとか言うラグアの側近の方がまだマシだっ!!」
ウラドスはそう吐き捨てた。
「やってられるかっ!!九天?知るかっ!!俺はゼオン様の配下でお前らと心中する義理なんかねーんだよ!!」
ラディアはそう言って全力で逃走を開始するが…
「発動、帝級スキル、剣帝、壱の型、光速の剣」
ライナーの一撃でラディアは、宣言通り四股を切断されてダルマ状態になる。
だが、ライナーの攻撃はまだ終わらない。
「弐の型、時間断裂」
ライナーの剣にラディアは切り裂かれるが、ラディアにダメージはない。
だが、当たった途端ラディアは動かなくなる。
否…動けないのだ。
生体の時間を切断された為に…
「まっ待ってっ!?私は攻めてきた訳ではなく、ラグア様に味方する為に…」
「はっ!?ナタリー正気か!?」
ウラドスは状況が悪くなった途端、一瞬で寝返ろうとする同じ九天の言葉に耳を疑う。
だが、所詮九天同士の同盟など、この程度だ。
九天は互いに、力関係はあっても、決して味方同士ではない。
九天を従わせるには、高潔な正義も独裁者のごときカリスマ性もいらない。
ただ、より強い力で黙らせればいいのだ。
そして、それこそがイグロシアルの九天の本質である。
だが、ナタリーの言葉に対するライナーの答えは剣を二度振るうと言うものだった。
ナタリーは四股を切断され、驚愕の表情のまま時間停止している。
「悪いな。セリーを殺す気で、3対1で挑んだ時点でその場凌ぎの嘘なのは、いくら俺の足りない頭でもわかる。貴様らはラグア様の供物になる以外の選択肢はないんだよ?」
ライナーの言葉にウラドスは後悔する。
ゼオンについたのは、間違いだったと…
こうして、ナタリー、ウラドス、ラディアの三人はライナーに完全に無力化されるのだった。




