第219話九天大戦10
「魔王ラグア・エルライド…」
レムレスはラグアを見据えながら呟いた。
自分の見立てでは、おそらくラグアも何かの準備の為に配下を割かざる負えないはずだ。
そうでなくては、ラグア本人が出てくる必要性などあるはずはない。
だが、それは我が神も同じ。
レムレスは思った。
俺は言う。
「当たりだ。そして、帝級クラスはお前だけか…ならあとはいらないな…」
「!?っ今すぐ全軍撤退っ!!」
レムレスは慌てて叫ぶ。
「もう遅せーよ。死ね。発動、ゴッズギフト、刻の神国、時空隔離、帝級スキル、土星帝、超小型超新星爆発」
超エネルギーによる大爆発が起こる。
その一撃で時空隔離をかけたレムレスと、同じく時空隔離をかけた外にいる、ゼオン達の部下以外の全てが吹き飛ぶ。
ちなみに時空隔離はゴッズギフト、刻の神国によるものだが、こんなものは所詮、刻の神国の一端に過ぎない。
神の力…
反則級のチート能力はこんなものじゃない。
超新星爆発は威力はかなり落としてるが、王級程度を殺すにはオーバーキルなぐらいだ。
ちなみに時空隔離をレムレスにかけたのは、少しレムレスと話してもいいかと思った為。
そして、外に時空隔離をかけたのは、ダミーエルライド王国にいる、暇人共を巻き込まない為…
暇人の中には、王級クラスもかなりいる。
さすがにこの技を食らったら死ぬ。
まあ、向こうにはエリスがついてるからどうにかできない事もないけど、そしたらもう一回ダミーエルライド王国を作らないといけないし、めんどくさいしな。
俺はそう思いながら、周りを見渡す。
レムレスの部下は全滅したが、ゼオンの連合軍って言うと…
うん。
かなりの数生き残ってるわ。
まあ、時空隔離はかなり範囲を狭めたから仕方ないけど。
つーか、そうしないとセリーに当たってたんだよな…
アイツも帝級クラスだから、同じ帝級クラスの技で相殺させれば死ぬ事はないだろうけど、絶対ではない。
さすがに無防備で超新星爆発を受けたら、死ぬ可能性はあるだろう。
いくら俺でも、10年以上苦楽を共にしてきた仲間をそんなアホなミスで殺したくはない。
まあ、ちょっと狭め過ぎたかもしれないが…
俺がそんな事を考えていると…
「我輩の軍団が…」
レムレスは焼け野原を虚ろな目で呆然と見つめながら呟く。
「さあ、あとはお前だけだが、1つ聞きたい。ゼオンはどこにいる?」
レムレスの目はこちらを向く。
その目はもう虚ろなんかではない。
殺気をみなぎらせながら、俺を睨む。
「貴様…よくも…」
「言う気はないみたいだな。まあ別のヤツに聞けばいいか。お前は死ね」
俺は再び時空隔離と超小型超新星爆発を発動させる。
今度は時空隔離をかけるのは外部のみ。
再び大爆発が起こり、その場に立っていたのは俺一人だった。
無事にエンペラーギフトは吸収できたようだ。
俺はそれを確認すると次の餌のいる場所に転移するのだった。




