第210話九天大戦
ダミーエルライド王国に朝がくる。
今日からゼオンとの戦いだ。
いや、俺の神格エネルギーを増やすための作業ゲーか。
まあ、なんでもいいや。
俺はそう思いながら外を見る。
さてさて、敵軍が迫ってるようだ。
数は1万程度か。
まあ、先鋒隊ってとこか。
帝級クラスだった分体の索敵は壊滅的だったが、今の神級クラスの分体ならちゃんと索敵は可能だ。
俺は言う。
「セリー、死霊帝のアンデットで防備を固めろ。質は適当でいいから数はそれなりに出せ」
「はっ、発動、帝級スキル、死霊帝」
突如、ダミーエルライド王国中に現れるアンデット、アンデット、アンデット…
その数、約5億…
多すぎじゃね?
まあいいや。
これすら突破できないようなゴミは餌にすらならん。
さて、先鋒隊は何人この城に辿りつけるだろうか。
俺は玉座に座りながら思った。
〜ダミーエルライド王国近郊〜
彼の名はジャッカス…
彼は九天の一人で現序列第8位、ナタリー・アルタナスの配下にして、幹部の1人だ。
現在は1万の手勢を率いて魔王ラグアに向かっている。
この軍は攻める為の軍ではない。
ラグアに軽く仕掛けたら、すぐさま撤退して味方に情報を持ち帰るのが目的の言わば偵察部隊だ。
なぜ隠密に優れた部隊を使わず、通常の軍できたかは聞くまでもない。
エンペラーギフトどころか、ゴッズギフト持ちの化け物が跋扈している中に隠密に優れた部隊など送ったところで、それこそ無駄死にだ。
それに、自らの主であるナタリー様は九天の中での立場は弱い。
ナタリー様の立場上、今回自分がこの役目を担うのは、仕方がない事だ。
そうジャッカスは思った。
魔王、ラグアの本国、エルライド王国の情報は九天どころかイグロシアル中に伝わっていた。
その全容はエルライド王国を代表とした、複数の国からなる連合国家だ。
そしてたからこそ、その国土も途方もない大きさだ。
だが…
ジャッカスはエルライド王国に踏み入る直前で軍に止まる様に指示を出す。
おかしい…
明らかに国が縮小している。
どうゆう事だ?
あれではエルライド王国しかないではないか…
ジャッカスはそう思い、自分のギフトを使い伝令を転移させる。
仮に自分達が全滅したらこの情報はナタリー様をはじめとした、味方陣営に伝わらくなってしまう。
ジャッカスはそう思っての行動だった。
ジャッカス達は進む。
そして、エルライド王国に入った時だった。
そこにいたのは、おびただしい数のアンデット…
気配を殺していたのだろうか、直前までジャッカスは気づく事ができなかった。
アンデット達はジャッカスの軍に次々と襲いかかる。
ジャッカス達も迎撃態勢をとり、応戦する。
こうして、九天大戦最初の戦いは幕を開ける。




