第209話九天大戦前夜3
「つーわけで、作戦会議って思ったけどよ?ぶっちゃけいるか?」
俺の身もふたもないない発言に九天達は固まり、配下達は押し黙る。
当然この場で俺に答えるのは、1人だけだった。
「まあ勝ち確ですし、いらないと言ってしまえばいらないですね。どうせ私はゼオンの足止めでしょうし、あとのゴミ共はお客様方を抜いた、ラグア様とその配下の皆さんでも過剰戦力なぐらいですしね」
「だよなー?」
ぶっちゃけゼオンさえ押さえてしまえば、俺が負ける要素はどこにもない。
確か4位のヤツに1人神級がいたが、俺かエリスが当たれば十分勝てる。
その他にこちらには、遊んでる九天同盟の神級が2人…
もうこれ会議いらんくね?
どう考えても勝ち確じゃね?
しかも、俺には餌がもったいないとか言う話を抜きにすれば、本体を出して皆殺しと言う奥の手まで存在する。
万に一つ…いや、兆に一つも負けはない。
やめだ。
バカらしくて会議なんかやってられるか。
俺はそう思って言う。
「会議は中止だ。だが、客人もいるし、俺の配下達もせっかく集まっている。フィローラ、宴の続きをやるがいいか?」
「…我はラグア様がそれでよろしければ…」
フィローラは一瞬止まったが、そう答えた。
これがもし、フィローラ単体でゼオンと戦うなら、現最強の九天、ゼオン・ヴェルゾアスとぶつかるのに、準備などいくらしても足りないと言ってもよかった。
だが、この場の最上位の発言力を持っているのは、ラグアであるし、ラグアの理不尽極まりない真の力をたった今まざまざと見せつけられた事の2つの要因が一瞬迷ったものの、フィローラにそう発言させた。
俺は言う。
「エミリー、城の使用人と料理人達を呼べ、客人が来てるのになんのもてなしもしないのは、俺の品格を落とす」
だが、エミリーは気まずそうにその場に止まったままだ。
ん?
どうゆう事だ?
俺の疑問には、エリスが答える。
「ラグア様、大変申し上げにくいのですが、エルライド王国は先程のラグア様の森羅万象で…」
あーやべっ
忘れてたわ。
つまりこのダミーエルライド王国には、今ここにいるメンバーで全員って事だ。
「あーエリス、お前の神級スキルでとりあえず料理だけでも出せ」
「はっ、発動、神級スキル、原子の神」
その瞬間ダミーエルライド王国に客人として呼ばれた九天達の心は1つになった。
なんという能力の無駄使いだろうと…
〜〜〜
こうして、結局会議は行われないまま、ラグア達は翌日を迎える事になるのだった。




