第204話再び九天の宴4
九天内序列第九位、ケルティカ・シャーバックの言葉に他の九天達はざわつく。
そしてほとんどの九天達はフィローラの方を向く。
これが一年前だったら九天の宴でこんな失礼極まりない発言をした者は、即座にフィローラに消されるだろうと判断して、この様な行動はしない。
だが、そうならなかった者、ラグアと言う実例が目の前にいる以上、九天達の行動は仕方なかった。
だが、フィローラの対応はラグアの時のそれとはまるで違った。
「九天に成り立てのガキが我にその様な物言いをするとは…命がいらんようだな?」
その瞬間、フィローラから放たれるのは圧倒的な殺気…
ケルティカはフィローラの殺気に気圧されるが、なんとか口を開く。
「いっ今の…きっ九天はこないだまで8位だったヤツごときにビビって何も言えない腑抜け野郎じゃねーか。そっそんなヤツらの集まりなんか俺様と俺様の配下達がいれば…」
ケルティカは気圧されながらも、エンペラーギフトを解放する。
空間が裂けてそこから5人の人物が現れる。
ほう?
なかなか面白くなってきた。
俺は事の成り行きをとりあえず傍観する。
できればヤツを殺して、エンペラーギフトを奪いたいが、ここでやるのはマズそうなんだよな…
神級になったばかりじゃ、せいぜいフィローラと同格…
それじゃゼオンは倒せない。
と言うか負ける。
本体を使えば簡単に殺せるが、せっかくの限りある餌をみすみす減らすのももったいない。
俺はそんな事を考えながら成り行きを見る。
その時…
パチパチパチパチパチパチ
突然拍手の音が鳴り響く。
九天達はいっせいに音のした方を向く。
そこにいたのは、ゼオン・ヴェルゾアス…
ゼオンは拍手をやめると言う。
「ケルティカとか言ったか?よく言った。確かに今の九天は腑抜けばっかりだ。どいつもコイツも牙抜けちまって、お前らそれでイグロシアルの頂点名乗って恥ずかしくねーのかってレベルだ」
ゼオンはそこで言葉を切り、ちらりと俺の方を見る。
そしてニヤリと笑い言葉を続ける。
「だがな、そんな腑抜け共でも一応この世界の頂点なんだぜ?お前は新参にも関わらずそれに泥を塗った。この意味がわかるか?」
ゼオンはここでケルティカに殺気を放つ。
ゼオンから放たれた殺気はフィローラの殺気とは比べものにならない。
ケルティカは何も言えない…いや、動く事さえできない。
「けどよ?実力が不明なのにも関わらず、フィローラの弱みでも握ったのか知らねーが、一位の席に座ってるヤツもこの中にいる」
ゼオンはもう一度俺の方を見る。
コイツさっきは認めるとか言っておいて何が言いたい?
俺は思った。
「ここでオレは1つ余興を考えた。フィローラお気に入りのラグアサマとそこのケルティカで殺り合えよ?オレは正直半分ぐらいは、今回のフレストの件もフィローラの力でやったのかと疑っている」
なるほど、そうゆう事か。
「おっ俺様はいいぜ。元より九天全員相手にするつもりだったからな?こないだまで8位のヤツとその配下ごとき余裕だ」
硬直から解放されたケルティカは言った。
「ラグアサマはどうよ?」
「俺もいいぞ。来いよ?ぶち殺してやるよ」
俺も凶悪な笑みを浮かべて答える。
「と言う事だ。フィローラ。宴の前に楽しい余興の時間だ。どこか戦える場所に案内しろ」
ゼオンの言葉で俺達はフィローラの城の闘技場に向かったのだった。




