第203話再び九天の宴3
こうして宴ははじまる。
そしてそれと同時に俺に話しかける者がいた。
アイツは確か3位のヤツ…えーっと確かバルトとか言うやつだ。
俺は思った。
「ラグア君、フレストを倒したんだってね?僕からも祝いの言葉を言わせてよ」
バルトは言った。
祝いの言葉。
13魔王とは違って九天には、ハナから仲間意識なんてものは存在しない。
バルトの言葉はそれを如実に示していた。
俺は答える。
「おう、確かバルトだったか?まあ、その言葉はありがたく受け取っておく。だが、真っ先に俺のところに来たところを見る限り、それだけじゃなくて他にも目的があるんじゃねーか?」
「さすがラグア君だね。なら下手な小細工はいらないね。簡潔に言おう。僕はラグア君につきたいと思う。さしあったって同盟を結んでほしい」
バルトがそう言った瞬間、他の九天達がざわつく。
だが、その反応はそれぞれ違う。
成り行きをただ見守るフィローラ、面白そうにこちらを眺めるゼオン、なぜか真っ青な表情のルル、そして理解が追いつかず、ただただ驚愕するその他の九天達…
九天達の反応は様々だった。
俺はニヤリと笑い答える。
「ほう?その同盟に対するこちらの見返りは?」
「僕の神としての力、そして僕の国とラグア君の国の、不戦協定及び、友好関係、技術提供、その他全面協力。逆にこちらが望むのは軍事面の協力かな?そしてあくまで同盟だから、僕の国の自治権は僕にある。これでどうかな?」
バルトは最後にそう釘を刺す。
「ほう?バカじゃねーみたいだな?俺は逆らったヤツには容赦しねーが、友として手を差し伸べてきたヤツには友好的に対処しようと思ってる。その条件でいい。お前の国に手を出すヤツがいたら俺がソイツを潰してやるよ」
前にバルトはノーマンに似ているかと思ったが、コイツはノーマンより賢いみたいだ。
アイツは基本的に何も考えてない。
実際に今では、特別王族と言う名のただの穀潰しだしな。
俺は思った。
その後、俺とバルトは会話は後日バルトが俺の国に来るということになり終わる。
〜〜〜
最悪だ。
完全に先を越された。
ルルは思った。
ルルは自分が一番にラグアと同盟を結ぼうと考えていた。
じゃなければ次に消されるのは自分だ。
だが、バルトが先にラグアに話しかけた為、完全にタイミングを見失った。
ルルはラグアとバルトの話が終わるのを、じっと待つ。
ラグアとバルトの話が終わる。
よし、今だ。
ルルがラグアに声をかけようとした時だ。
タイミングよく、いやルルにとっては最悪のタイミングで言葉を発した者がいた。
「おい?いつになったら俺様の紹介があるんだ?九天、暫定九位、ケルティカ・シャーバック様を忘れてんのか?あんまなめてんじゃねーぞ?」
そう。
フレストが堕ち、7位以下の九天は全員序列が繰り上がった。
そして空いた九位の席についた新参者は言ったのだった。




