第199話ラグアVSフレスト5
ふう。
ここまでくれば大丈夫だろう。
フレストは息をつく。
「ふふふっ、何が大丈夫なんですか?」
「!?っ」
フレストは周りを見渡すが誰もいない。
そもそも今のは思っただけで声に出していなかった。
つまり、今の声の存在は自分の考えを読めるということだ。
そしてそれが示すのは、声の存在が確実に神だということを意味する。
この声の存在は先程の、エリスとか言うラグアの配下の声とは違う。
ふざけてる。
つまりラグアには神クラスの配下が確実に二体はいるということだ。
逆に笑えてくる。
はじめから勝負になどなるはずがなかったのだ。
そうフレストは思うと、何もない空間から1人の女が姿を現わす。
一言で言うなら死、もしくは具現化された絶望…
真っ白な髪と真っ赤な瞳…。
どことなくラグアを彷彿させる見た目でラグア同様、顔だちは整っている。
だが、そんな事を感じさせない程の凶悪なオーラ、そしてラグアに匹敵する濃厚な殺気が全てを打ち消している。
アレの前ではラグア…いや、フィローラや先程のエリスとか言う女でさえ可愛く見える。
今まで、永い時を生きてきたがあれほどの化け物には会ったことはない。
フレストがそう考えていると女は言った。
「はじめまして。私は邪神エリローズと申します。どうします?おとなしくラグア様のところに戻りますか?それとも動けないようにしてから引きずられますか?お好きな方をお選びください」
「………ラグア様か…。なんでこんなヤツがラグアの配下に…」
フレストの口から出たその言葉はまごう事ない本音だった。
「配下?ラグア様の?私は違いますよ。強いて言うならラグア様の姉ですかね?可愛い弟の頼みぐらい笑顔で叶えてあげるのが姉の務めですので…」
エリローズはそう言うと、フレストを強制転移させた。
〜〜〜
コーラを飲みながら待っていると、目の前にフレストとエリローズが現れた。
「じゃーラグア様、私はこれで…」
「待てやっ、また逃げられないようにしとけよ」
「心配しなくてももう逃げる気力なんかありませんよ。まあ、万が一逃げたら今度は全てのギフトを封じて転がしておくのでご安心を」
見るとフレストはもう疲れ果てた顔で全てを諦めている。
完全に心折れてるわ。
俺は思った。
「まあいいや。なら死ねよ」
俺の分体達による攻撃にフレストは今度はなんの抵抗もせずに貫かれる。
〜〜〜
感じる。
エンペラーギフトが俺に譲渡されるのを…
それにしても一気に7つか。
でも付与の帝国だけ被ってるから合計は、実質9個か。
そして、今回フレストを倒してギフトを得た事により、ようやく神格化の条件がわかった。
分体で新たな帝級スキル、もしくはギフトを10個獲得する事…
あと1つだ。
気になるのは、今回被った付与の帝国だが保留状態で今はステータスには2つ存在する。
まあ、神格化した時に統合されるのはなんとなくわかるからこれはいい。
とにかくこれでようやく神格化の目処が立った。
あと1つだ。
俺はそんな事を考えながらエルライド王国に戻るのだった。




