第192話セリーVSラナトス帝国2
セリーとタリスはラナトス帝国に転移した。
だが、その瞬間異変に気付く。
「クソっ、ライナーめ。勝手な事を…」
セリーは即座に状況を理解して毒づく。
いや、セリーもわかってはいる。
ラグア様に好きに動けと言われたライナー達が何をしても文句を言う資格などない事を…
だが、自分になんの断りもなく勝手にフレストの足止めなどをされればおもしろくはない。
だが、今すぐフレストのところに向かう事はできない。
なぜなら…
「何者じゃ?貴様は?儂はラナトス帝国、六炎将の1人…ジゼルだ」
「私はラナトス帝国、六炎将の1人…」
「僕はラナトス帝国…」
「俺はラナトス…」
「ウチは…」
「我は…」
この有象無象をなんとかしなければならないからだ。
クソっ、こんな事をしている間にラグア様が来てしまえば最悪だ。
その間、フレストの足止めをしていたライナーは当然ラグア様からお褒めのお言葉をいただくだろう。
ふざけるな。
全部私がもらうはずだったお言葉だ。
何故だ。
何故こうなった?
ああ、クソっ
「………タリス、予定変更だ。ゴミ共を即座に片付けてライナーを一発ぶん殴る」
セリーは殺気を全開にしてそう言った。
というかそれが、セリーが譲歩できる最低限のラインだった。
あのチャラけた顔を一発ぶん殴らなければ、気が済まない。
セリーは思った。
タリスは逆上しているセリーの雰囲気に震え上がった。
ぶん殴る?
殺すの間違いではないだろうか?
いや、セリー様よりライナー様の方が実力は上らしいから殺すのは無理だろうが、わかっていても恐ろしい。
タリスは無言で首をぶんぶん縦に降るのが精一杯だった。
セリーは言う。
「ゴミ共の名前など覚える気もないが、一応名乗ってやる。私はセリー。ラグア様配下、最高幹部、四天王の1人だ。早急に優先事項ができた。ゴミに関わっている暇はない。消えろ」
セリーは帝級スキルの発動をはじめる。
「「「なめるなぁぁぁ!!」」」
六炎将達はそれぞれキングダムギフトを発動させて向かってくる。
彼らはわかっていた。
目の前の存在が自分達より遥か格上だと言う事を…
だが、主であるフレストにここを任された以上、ラナトス帝国のプライドにかけて退くと言う選択肢はありえなかった。
「発動、魔導帝、生体分離。発動、死霊帝、仮初めの生命。発動、不滅の帝、無限分裂」
セリーの体が次々に分裂していく。
元がアメーバであるラグアとは違い、人魔であるセリーは、魔導帝で一度体を切り離してから再生させると言う方法でしか分裂をおこなえなかった。
もっとも体を切り離すのは魔導帝ではなくてもいいのだが…
そして、無限分裂をかけたセリーの体の一部がそれぞれセリーの姿に再生する。
しかも、死霊帝で意思をもたせた為、セリーの負担はない。
不滅の帝だけでの無限分裂は細胞が一つしかなく、分裂した細胞がそれぞれ独立する、アメーバだからこそできる技だった。
ふつうの体でそんな事をすれば脳細胞がショートして、まともに動くこともできない。
こうして生まれたのは、一体一体がセリーと同格の最強の配下達だ。
その光景に六炎将は唖然とし、皆同じ事を思う。
化け物…
こうして、セリーの戦いとすら呼べない蹂躙戦がはじまった。




