第190話セリーVSラナトス帝国
開戦から数分がたった。
セリーはモルエデス神国で生み出したアンデットを次々と帝級スキル、魔導帝の力で転移させていた。
〜ラナトス帝国〜
ラナトス帝国軍の旗色は悪い。
それどころかかなり一方的な展開だった。
当たり前だ。
先陣を切っているのは、量産型アンデットとは言え、帝級スキル死霊帝ににより生み出されたアンデット達ははっきり言って強い。
ラナトス帝国の兵は蹂躙されるのみだ。
「クソがっ!!」
フレストは目の前のアンデットを10体まとめて吹き飛ばしながら毒づく。
敵軍の力を見誤ったか?
自軍でこちらが優勢なのは、フレストをはじめ、六炎衆と呼ばれる幹部達のみである。
他はただただ、無残に殺されていくだけだ。
フレストは叫ぶ。
「六炎衆を残して軍を退けっ!!このままじゃ無駄に兵をすり減らすだけだっ!!」
ラナトス帝国軍は撤退を開始する。
〜モルエデス城、玉座の間〜
「セリー様、ラナトス帝国軍がフレストと数名を残し、撤退を開始しました」
タリスは言った。
撤退?
ラグア様が私に下した命令はフレスト以外の有象無象の始末。
1人たりとも逃すなどありえない。
「タリス、アンデット軍を全て追撃に回す。1人も生きて返さない。逃げ込んだラナトス帝国ごと滅ぼす」
セリーはそう言い放った。
「では、すぐに遊撃に回っている他の方々に連絡を…」
タリスはそこまで言いかけて、言葉が止まる。
セリーが凶悪な殺気をタリスに向けたのだ。
「タリス、お前は私に恥をさらせと?ラグア様から与えられた命令も満足にこなせない無能とそう言いたいのか?」
「いっいえっ、そんな事は…」
セリーは殺気を引っ込める。
「さて、私達も出るとしよう。フレストだけはラグア様の獲物だ。殺さないように気をつけて対処するぞ」
セリーはそう言ってタリスと共に転移する。
〜ラナトス帝国〜
なんだ?
撤退を命令した瞬間、急にアンデットの動きが変わった…
アンデット共は自分と六炎衆を完全に無視して撤退中の味方とラナトス帝国を優先して攻撃をはじめた。
マズイ…
この程度のヤツらなら倒す事自体は簡単だが、撤退中の味方とラナトス帝国を守りながら戦うのはさすがに厳しい。
とゆうか倒しても倒しても次々と転移して現れる以上キリがない。
一つだけわかったのは、コイツらはただのモンスターではない。
コイツらを指揮している指揮官が絶対にいる。
フレストは思った。
仕方ない。
ガラじゃないが、ここは六炎衆に任せて自分は本国の守りにつくか。
六炎衆ならこの程度のアンデットに負ける事はない。
フレストはそう考え本国に撤退する。
この判断がフレストにとって致命的な事態を生むが、この時のフレストは気づかなかった。




