第189話再始動2
配下達を集めた俺は簡単に作戦を伝える。
と言っても今回は明らかな雑魚なので、はっきり言ってナメプしてても楽勝で勝てる。
なので俺の命令も適当だ。
「セリー、タリス、有象無象の雑魚共の処理は任せた。フレストだけは俺がやるが後はいらん。好きにしろ。エリスは俺につけ。フレストとやる時の保険だ。さて、残った連中は好きに動け。ゴミ掃除をするなり、適当に遊んでるなり好きにしていい」
「「「はっ」」」
うん。
我ながらひどすぎる指示だわ。
普段ならこんな命令は出さないが、勝ち確の戦いはどうも考えるのがめんどうでお粗末になる。
まあいい。
フレストが出てくるまでのんびり待つとしよう。
〜ラナトス帝国〜
「炎王様、モルエデス神国及び、エルライド王国とその系列諸国がラナトス帝国に対して戦線布告しました。あろう事か攻撃開始は10分後だそうです」
「バカなっ!?10分で何ができると言うのだっ」
フレストの側近の1人が伝令の報告を聞いて叫ぶ。
だが、フレストは口角を吊り上げて獰猛に笑う。
ラグア…
ついに来たか。
この一年でヤツに勝つ為の手段はいくつも用意した。
あとは決着をつけるのみ。
九天、第6位、2代目炎王フレスト・レアギス・ラナトスは思った。
ラナトス帝国は九天と同じく完全な実力主義を採用している。
強者こそ正義…
強ければ強い程この国では重要なポストにつける。
フレストはそんな自分の国が好きだ。
フレスト自身、前の炎王である、ジル・ラナトスとの激戦の果てに王座についた。
だからこそ、九天の頂点たるフィローラになめた口を聞くアイツだけは自分が倒さなければならない。
フレストは言う。
「狼狽えるな。イグロシアル屈指の俺の軍の力をラグアに見せつけてやれ!!」
「!?っ、そうだ我らにはフレスト様がついてる」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」
〜その頃のモルエデス神国〜
モルエデス城の玉座の間…
だが、そこに座るのは、モルエデス国王ではない。
玉座に座るのは、1人の女…
そして、その脇に控えるように立つモルエデス国王、タリス・レガッタ…
玉座に座る女セリーは言う。
「タリス、ラグア様より大役を任された。必ずご期待に沿わなくてはならない。ラグア様の配下に敗北は許されない」
タリスは神妙な顔で頷く。
エリローズの力により得た、セリーの帝級スキルは3つ…
魔導帝、不滅の帝、そして死霊帝…
それはどれもセリーの力を最大限に生かせる有用なスキルだが、今回の強化でライナーとの差は悲しい程に開いてしまった。
同期にこんな差をつけられるのは屈辱だ。
せめて今回の大役は、確実にこなしてみせる。
ラグア様に役立たずだと思われる訳にはいかない。
セリーは死霊帝を解放する。
モルエデス神国の地から、無数のアンデットが沸いてくる。
フレストとか言うゴミの為にラグア様の大切な兵をすり減らす訳にはいかない。
自分のアンデット軍団で十分だ。
セリーはそう思っての判断だった。
セリーは言う。
「行けっ。私の下僕たる死霊達よ。ラグア様の恐ろしさをゴミ共に刻みこんでやれ」
こうして戦いは幕を開けるのだった。