第181話最高幹部会
〜モルエデス神国郊外〜
1人の男が気配を殺しながら全力で逃げていた。
化け物…
未だに信じられない。
自らの主である、モルエデス神様があんなに簡単に…
こうなれば仕方ない。
借りは作りたくはないが、他の九天に頼るしか…
そう考えながら元モルエデス神国、国王フォボス・モルエデスは走る。
〜エルライド王国〜
俺は一際豪華な造りの椅子に深く腰掛ける。
もう参加メンバーは全員揃っている。
ちなみに俺の隣にはタリスが座っている。
これから新しい特別幹部として、紹介するつもりだ。
参加メンバーは俺、エリス、セリー、ライナー、フィリア、フィリム、エミリー、アレス、リル、タリス、そして呼んでもないのに勝手に参加しているエリローズの11人だ。
タリスは集まったメンバーを見て驚愕する。
なんだこれは…
どいつもコイツも化け物の集まりではないか…
唯一、エミリーと言う特別幹部だけは強いのはわかるがまだ常識的なレベルだ。
それ以外はもはや人外とでも呼べるレベル…
モルエデス神国の国王と同格レベルが当たり前の様に座っている異常な状況…
タリスはそんな風にを考える。
「全員揃ったな。まあ、今回お前らを集めたのには、いくつか訳があるのだが、まあとりあえず、今回モルエデス神国を制圧した。コイツはそれにあたってモルエデス神国を任せる事になった、タリス・レガッタだ。一応特別幹部の椅子を用意している。何か異論はあるか?」
タリスは即座に反対意見が出ると思った。
この化け物達の中では明らかに自分は場違いすぎる。
だが…
「ラグア様。ラグア様のなさる事に私達ごときが異論を挟む事などありません。この場にいるのは、ラグア様の側近のみ。私を含めラグア様のお考えのままに」
そう言ったエリスの目はもはや完全な狂信者だった。
ふつう、これだけの力を持った者達が集まれば、決して一枚岩ではない。
だが、そんな者達が全て魔王、ラグア・エルライドと言う1人の独裁者に従う。
この異常な状況が成立する条件は2つ。
圧倒的な力、そして絶対的な恐怖…
その2つが重なってはじめてこの状況が成立する。
この短い時間でもわかったが、特別幹部と呼ばれる者達と最高幹部と呼ばれる者達には、明らかラグアに対する認識の差がある。
前者の主な認識は絶対的な支配者に対する畏怖…
後者は絶対的な支配者までは同じだが、そこに感じるのは、完全な狂信…
怖い。
たまらなく怖い。
ラグアだけではなく、この組織自体が…
タリスは思った。
そんなタリスの思考など無視して話は進む。
「さて、それではここからが本題だ。今回の戦いで面白い能力が手に入った。そこでお前らにギフトを授けようと思う」
俺は周りを見渡しながら言うのだった。




