第175話ラグアとタリス2
「まあ、楽にしろよ。今日はとりあえず親睦でも深めようじゃねーか。おい?」
俺がそう言うと次々に料理が運ばれてくる。
料理が出揃ったところで俺は続けて言う。
「ここからが本題だが、まあ、食べながらでいい。俺の国にネズミを放ったみたいだが、どうだ?何か感想はあるか?」
俺の言葉にタリスの表情が強張る。
まあ、当然か。
スパイを見つけて野放しにした上で、感想を言えなんてふざけている。
俺がこんな言い方をしたのは、後々のこちらの提案を受けさせるためだ。
タリスは強張った表情のまま答える。
「まず、そちらを試す様な事をした事を心よりお詫びします。申し訳こざいません。そして、ラグア様が治める国、エルライド王国とその関係国はどれも素晴らしいの一言です。商業、科学、軍事のどれをとってもこのイグロシアルに敵なしと言えるでしょう」
こうなれば、嘘でもなんでも言っとけ。
タリスはもうヤケクソだった。
実際のところは、商業に関しては一流とは言え、イグロシアルに敵なしとは言えない。
逆に科学に関しては目に見える分だけでも、この国は恐ろしい程の発展を遂げている。
軍事は…
わからない。
軍事に関してはおそらく国家機密なのだろう。
わかったのは、せいぜいラグアの軍の組織図程度と主だったメンバーの名前だけ…
だが、出まかせでもなんでもいい。
そう考えた結果が、タリスの今の発言だった。
タリスは続ける。
「そして私は、そんなラグア様の国とはこれからも友好的な関係を築いていきたいと思っております」
「俺もお前とは互いに、良き協力者でいたいと思ってる。具体的にはお前にモルエデス神国をやるよ。代わりに俺にイグロシアルをよこせ」
「!?っ」
その言葉を聞いた瞬間、タリスの表情は驚愕に変わる。
「聞こえなかったか?お前をモルエデス神国の王にしてやる。その代わり俺のイグロシアル征服に協力しろ。別に戦わなくていい。この世界の情報と主要勢力の情報を、俺に流すだけでいい、簡単な仕事だ」
タリスは目の前が真っ暗になった。
〜〜〜
くっくっくっ
思い通りに話が進み過ぎて笑えてくるわ。
俺は思った。
とにかくこれで準備は整った。
俺が分体を使っているのは、何も保険の為だけではない。
確かに俺の本体の神格エネルギーを上げるには、この前行った様な、亜空間に神格エネルギーを逃してから吸収といった方法しかない。
だが、それはそれ相応のリスクがある。
不滅の概念を持っている俺は確かに死ぬ事はない。
だが、神格エネルギーを極限まで落としたタイミングで、最高神の封印の概念みたいな事をされたら一発で詰む。
というか、俺以上、例えばエリローズと戦えば、万全の状態であっても神格エネルギーのぶつけ合いになれば、俺は死ぬ事はないが、神格エネルギーを空にされる。
そうなれば本来の力を取り戻すのに、どれだけの時間がかかるか…
しかも、その気の遠くなる様な時間を逃げ回る事になる。
もし、再び負ければまた最初からだ。
その点分体を神格化させるのは、まずリスクがない。
だが、分体の神格化は簡単じゃない。
本体の方は帝級スキル、10個で神になる事ができたが、分体は現在のところはじめから、帝級スキル10個持っているのにも関わらず全くその兆しが見えない。
だが、決して不可能ではない事は、オリジンゴッドの感覚でなんとなくわかる。
そして、その神格化した、分体から神格エネルギーを本体に送る事で無限に神格エネルギーを得れる事も…
まずは、分体の神格化が目標かな?
まあ、根気よくいくさ。
そして、その為には大量の犠牲がいる。
その為のイグロシアル征服でもある。
まあ、タリスから終わり際に聞いた話だが九天か。
まずは、その九天になってみるのも面白そうだな。
せっかくだから楽しまないとな。
この日を境にアルムス最悪の魔王、白い滅亡、ラグア・エルライドがイグロシアル侵略に乗り出したのだった。




