閑話イグロシアル
イグロシアル…
それはラグア達が最高神により、強制的に飛ばされた世界の名である。
惑星の大きさはアルムスの85%。
衛星は2つ。
イグロシアル…それは神と生き物が同居する世界。
イグロシアルはアルムスよりも、神が身近にいる世界である。
もっとも神自体の力はアルムスよりもだいぶ弱い。
アルムスでは、基本的に神級スキルを持つ中級神クラスから一般的に神と認められていたが、イグロシアルの神はそのほとんどが下級神クラスである。
その代わり神自体の数はアルムスよりも多いのだが…
そしてアルムスとの一番の違いはイグロシアルにはスキルが存在しない。
代わりに存在するのはギフト…
それは神からの贈り物…
もっとも一番下のノーマルギフトでアルムスで言う、通常スキルと同等程度…
通常スキルはアルムスでは誰でも持っているスキルだが、それでさえもイグロシアルでは選ばれた者しか持つ事ができない。
その点から言えばイグロシアルはアルムスより劣っていると言えるかもしれない。
〜〜〜
そんなイグロシアルにある国の1つモルエデス神国、レガッタ領の領主の館で、部下からの報告を聞いて頭を悩ます者がいた。
男の名はタリス・レガッタ。
レガッタ領、領主にしてモルエデス神国の子爵の爵位を持つ。
レガッタ領は領主の館のある、レガッタの街以外は、ポツポツと小さな村があるだけの領地だ。
そしてレガッタ領の隣にある、広大な草原は周辺諸国との緩和地帯で大国いくつもの敷地がある。
周辺諸国に攻め入るにはこの広大な草原を超えなければならない。
その間に兵は疲弊しきり、攻め入る側は圧倒的不利な状況での戦いを強いられる。
だったのだが…
部下からの報告では、その広大な草原に瞬く間に、広大な国が現れたと言う。
できたではなく現れただ。
何の予兆もなく、一緒の間の出来事だ。
ありえない。
訳がわからない。
そんな事があるはずなどないが、自分に報告をした部下は自分に対して嘘を言う様な人物でない。
タリスは考えてから言う。
「草原の大国に諜報部隊と使者を送れっ」
タレスは優秀だった。
貴族として…
指導者として…
だからこその今回の判断だった。
この判断が後の波乱を巻き起こすのだが、この時のタレスはそんな事になるとは、夢にも思っていなかった。




