第153話転生者親睦会
その後の親睦会は滞りなく過ぎた。
なんか俺が前世の話をするたびに、シュドレとカティアが硬直するが気にしたら負けだ。
〜〜〜
カティアは思う。
今回の親睦会は親睦会という名の拷問だ。
ラグアの前世の話は聞いているだけで不愉快になるような話ばかりだった。
特に保育園に侵入して、園児と保育士を拷問したあげく、皆殺しにしてスワットに囲まれて下水道から逃亡した話をその時の描写も含めて、事細く説明されたのには吐きそうになった。
そのあとに出された食事は全然食べられなかった。
〜〜〜
シュドレは思う。
鬼畜…
悪魔…
いや、ラグアはそれさえも優しく思える程の狂気っぷりだった。
親子で殺し合いをさせて、生き残った方を助けてやるなんて考えつくヤツはイかれているとしか言えない。
しかも最終的に子供を庇って犠牲になった親の意識があるうちに…。
ダメだ。
これ以上は言葉に出したくもない。
〜〜〜
俺は思う。
うん、楽しい親睦会だった。
まあ、理解してもらったとは思ってないけどさ。
俺の持論はこうだ。
日本人は魚や肉を食べるだろう。
そうでない人も野菜の命は奪っている。
ある国では犬を食べる。
またある民族は最近まで、食人文化があったと言う。
その差は何?
俺にはわからない。
みんなが肉や魚を食べる様に、俺は人を殺さなければ生きていけない。
他の人達が趣味などでストレスを解消して、健康な精神を維持しているのを俺は人を殺す事でしか維持できない。
まあ、人それぞれ色んな考えがあると思うから、それを頭から否定するつもりはないけどさ。
〜エルライド城、玉座の間〜
親睦会から約2ヶ月がたった。
俺は誰もいなくなった部屋で1人玉座に座って考える。
既に食事などの後片付けは城にいる使用人達が行った。
ミグ…
最高神…
倒さなくてはならない敵は、今のところこの2人だ。
まあ、今回の侵攻はゴルドは殺されてしまったが、概ね成功と言っていいだろう。
アルムスは既に獣人国家ライカン帝国を除いた大国は潰したか、同盟関係にある。
そこは成功と言っていい。
だが、問題はエリローズだ。
アイツの目的はこの十数年で薄々気づいている。
だが、アイツと戦えば俺は確実に負ける。
はっきり言ってまだ敵対すべきではない。
ならばどうする?
「ラグア様。呼びました?」
これだよ。
これだからコイツは…
まあいい。
途中までは俺とコイツの目的は同じだ。
いつかはやらなきゃいけない。
それが今でも問題はないか。
「エリローズ、ミグを潰すぞ」
「はい。ラグア様のその言葉待ってましたよ」
俺は意識を集中させる。
さすがにこの技はいかに、神級スキル、万物の神を使っても簡単ではない。
「発動、神級スキル、万物の神、森羅万象」
エルライド王国をはじめとした、アルムス中にある俺の息がかかった国に巨大な魔法陣が現れる。
マズイ…
意識が持っていかれそうになる。
やはりまだ早かったか…
「神格エネルギーが足りてないみたいですね。まあ、今回は協力してあげます」
エリローズが俺の森羅万象を補助する。
その瞬間、アルムス中の巨大な魔法陣が光り輝く。
俺の視界は真っ白になった。
〜〜〜
現在、この場に立っているのは数人…
俺、エリローズ、テオレーム、カティア、セルナース、シュドレ、ゼギウスのみ。
「さあ、いきますよ。ゴミ共に誰がこの世の支配者かわからせてあげましょう」
「クソアマぁ、それは俺のセリフだ」
こうして、俺とミグの最後の決戦は幕を開けようとしていた。




