第141話テレーズ帝国攻略戦8
王級スキル、超常の王…
シュドレの固有スキル、念力が進化して生まれたスキル…
サイコキネシスによる自分の半径1メートル以内の、王級スキルに対する絶対防御と念動力による外部への高威力の攻撃を合わせ持つ有能スキル…
ジルドは絶対防御の範囲外に弾き飛ばされる。
というか自分から距離をとった。
サイコキネシスの絶対防御範囲内では、ジルドは圧倒的に不利だ。
ジルドの攻撃は一切通用しないし、こちらの攻撃は一方的に通る。
あのまま絶対防御範囲内にいればこちらのワンサイドゲームになり、ジルドは一瞬で配下のストックを使いはたしてしまっただろう。
「嘆きの咆哮」
ジルドの手から王級スキルの破壊のエネルギーが飛んでくるが、シュドレの絶対防御範囲内に入った瞬間にかき消える。
だが…
「素晴らしいですね。まさかこんな奥の手を、隠していたとは…。ですがそれで勝ったつもりですか?鑑定持ちのようですが、このスキルは見えなかった様ですね。もし、見えていたらはじめから勝負を挑もうなんて発想にはなりません。ここからが本番ですよ?発動、犠牲の王」
ジルドの放つオーラが圧倒的な強者の放つものに変わる。
そして、ジルドの背後には犠牲の王を解放してから現れた尾がゆらゆらと9本、金色に輝きながら揺れている。
くそっ
やはりこうなったか…
シュドレは心の中で毒づく。
そして犠牲の王を解放した事により、はじめてジルドの帝級スキルが見える。
帝級スキル、天狐の帝
炎に対する絶対的な耐性と炎の完全支配が可能。
その絶対的な炎の力は惑星をも焼きつくすという…。
また9本の尾は9つの魂を表しており、肉体が完全に消滅しても9回までは蘇る事ができる。
尾の再生時間は原則1日1本。
尾の数が9本以上になる事はない。
見なきゃよかった。
これでもう、ゼギウスさんに頼る以外の道はなくなった。
こんなの王級スキルごときで、どうにかできる訳ない。
いや、でも…
「フフフ、恐怖のあまり声も出ませんか?この姿で戦うのはずいぶん久しぶりです。少しやりすぎてしまうかも知れませんね」
シュドレは考える。
とりあえず目の前でフラグたてまくっているアホは放置だ。
………。
ダメだ。
いくら考えても自力で勝てる案が浮かばない。
いや、そんなもの元々ないのか?
仕方ない。
シュドレは覚悟を決めた。
「ゼギウスさん、お願いします」
その瞬間、シュドレの体が輝き出す。
制限のなくなった神による完全サポート…
それは神と生物の一時的な融合だった。
シュドレはゼギウスと同化をはじめる。
光が止んだ時そこにたっていたのは、シュドレの顔ををした化け物だった。
体からは神格エネルギーが満ち溢れている。
体自体の主導権はシュドレにあるが、今のシュドレの体は人神ゼギウスそのものだった。
「なっなっ!?」
そしてそれはジルドを驚愕させるには、十分すぎる程の衝撃であった。




