第16話今後の方針
「さて、まず言っておくが俺はこの世界について、ほとんど知らない。何しろ生まれてまだ数ヶ月だ。この世界の事を教えてほしい。」
ラグアは当然の様に言うが、生まれて僅か数ヶ月でランクCに到達するという事はどれだけ異常かわかっていない。
いかに逃げ回っていたとはいえ、格上の魔物や、人間にみつかる事なく進化できたのは、運が良かったとしか言えないだろう。
エリスは生まれて数ヶ月だと当然の事に言う自らの新しい主人に、驚愕しながらも答える。
「はっはい。私にわかる事でしたら、なんなりと。」
コイツまだ慣れてねえのかよ?
めんどくせえ。
しばらく俺の参謀なんだからさ、だりーよ?
ラグアはそんな事を思うが、目の前で仲間を一撃で惨殺した相手にこの短時間で慣れろと言うのに無理があるのを、本人はわかっていない。
この場唯一の常識人は、絶賛ビビり中なのだ。
「まず、ここはどこだ? てか俺は魔物としてこの世界ではどのくらいの位置なんだ?」
「ここは、エルライド王国、ドール伯爵領の外れのミール村です。ラグア様の魔物としての格は私程度には測りかねますが、少なくとも魔王軍の幹部クラスの実力はあるかと。」
なんか知らない単語がいっぱい出てきた。
エルライド王国?
まずはこの国で暴れるか。
俺の実力は、魔王軍の幹部クラスか。
よし、魔王にはまだ逆らわない様にしよう。
世界征服も面白そうだが、それはまだ先の話だ。
「なるほど、では逃げた連中を追いたい。どこに行ったかわかるか?」
やはり、姿形は少年でも恐ろしい魔物だ。
おそらく逃げた人々を皆殺しにするのだろう。
だが、エリスにとって自分を生贄に差し出した村の人々など、恨みはあっても庇うつもりなど微塵もない。
「村の人達はおそらく、ドール伯爵のいる、モレストの町に避難したと思われます。ラグア様なら大丈夫だと思いますが、直にドール伯爵率いる討伐隊が派遣されるでしょう。」
モレストの町か、次の目標はそこだな。
にしても討伐隊か。
強いんかな?
俺の実力は、魔王軍の幹部クラスだって言うし、まあ大丈夫だろう。
ウォルトクラスが何人来ようが、2000万を超える俺のHPとマナ吸収による自動回復を削りきるのは、無理だ。
とにかく次の目標は決まった。
これからの殺戮を思い描きながら俺はニヤニヤする。
もっともエリスから見れば、凶悪としか表現できない笑みだが考えてる事が考えてる事なので、間違いでは
ない。
こうしてラグア一行は、新しい配下エリスと共に新天地に向かって旅立つのだった。
風呂にiPhone持ち込んで書いてます。
何故か風呂で書くのが1番はかどります。笑笑




