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第132話フィリアとフィリム6


マズイ…

フィリムは思う。

現在、勇者リル・ナフストと自分の姉フィリア・アースの戦いは拮抗している。

途中からフィリアは2体1でも仕留めきれないと判断して、待機させていたウルトスも使って攻撃をはじめたが、それはリルが王級スキル、竜王で超竜を召喚した時点で無意味になった。

だが、おかしい。

いくらフィリアがキャパオーバーのリスク度外視で妖精王を発動させているとは言え、王級スキル2つも使って戦いが拮抗しているこの状況は正直疑問だ。

これは、スキルは強大だが経験が不足しているのだろうか?

それに、フィリアのこのリスク度外視の妖精王は長くはもたない。

せいぜいもって3分…

それ以上続ければフィリア本人が死ぬ…。

当たり前だ。

こんな戦いを長時間続けられる様なら、今自分達はここにいない。

おそらく13魔王に入る事ができただろう。

まあ、結果そのおかげでラグア様に拾われたのだから、これでよかったのだが…


既に戦闘がはじまって2分…

フィリムは決断を迫られる。


残り50秒…

フィリアは妖精王を解除するつもりはない様だ。

と言うか解除できないのだ。

解除した瞬間に戦況がひっくり返ってフィリアは殺されるだろう。

つまり妖精王は解除できない。


残り40秒…

戦況は変わらず互角だ。

フィリアの言葉を無視して割って入ろうか…

いや、それでもあの勇者を40秒以内に倒せなければ無意味だ。

あれだけ無理をすれば、妖精王を解除したところでフィリアはしばらくまともに戦えない。

40秒後には2人共やられる。

どうする…?


残り30秒…

ダメだ。

もはや詰んでいる。

自分達は2人揃えば13魔王の下位魔王すら倒せる。

だが、それは2人揃った全力戦闘が前提だ。

フィリアが1人でリルに挑んだ時点ではじめから詰んでいた…

そもそもこうなったのは自分のせいだ。

私がリルを引き込むなど言わなければ…


残り20秒…

決めた。

自分のわがままのせいで姉を死なせる訳にはいかない。

仕方ない。

ラグア様からお借りした奥の手を使おう。

だが、もはやこれは恥以外何物でもない。

自分のわがままのせいで追い詰められて主人の力を使うなど配下失格もいいとこだ。

だが、自分のわがままのせいで生まれた時からいっしょだった姉が死ぬのはもっと許せない。

フィリムは叫ぶ。


「発動、精霊王、中級空間精霊、召喚」


フラフラのはずのフィリアが驚いた顔でこっちをみている。

それは手を出すなと言われていたのを破ったからだろうか?

それとも今さら中級空間精霊ごときで何をするつもりかわからなかったからだろうか?


中級空間精霊の能力は小さな一軒家ぐらいの亜空間を作り出してその空間を使用できると言うだけの対して役に立たない能力だ…


外側は。

問題は中身に何を入れたかだ。

フィリムは続けて言う。


「出ろ。七大罪っ、魔王ラグア様に代わり命令する。その圧倒的な力で勇者を捻じ伏せろ」


フィリアは驚きのあまり妖精王を解除して呆然とする。

また、それはリルも同様だった。




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