第126話ドワーフ国家ドーラス王国7
「ウリンっ!!そんな事っ、お前の一存では…」
フォルンは叫んだが、言い終わらないうちにウリンは言った。
「既に他の5王の賛同は得ている。売国奴の統治者などこの国にはいらん」
バカなっ。
他の5王の賛同?
ありえない。
キャリーやエルクはともかくダスカーまで…
フォルンは頭が真っ白になり膝から崩れ落ちた。
「それではエルライド王国のお客様方、そうゆう訳ですので、何卒よろしくお願いします」
ウリンはもう話は終わったとばかりにフォルンを無視して言った。
セリーは言う。
「それで?先程の話だが貴様はどう償う?」
「私としましては、エルライド王国とは同盟と言う形で友好的な関係を築きたいと思っております。こちらが差し出すのは我が国が誇る科学技術の提携、そしてそこの老害が抜けて空いた5王の席にそちらのカティア様をお迎えすると言うのはいかがでしょうか?」
カティアは思う。
あれ?
同盟が上手くいきそうなのはいいけど、なんか私が話題に上がってるんですけど?
セリーは言う。
「技術の提携とカティア様の5王就任か。まあそこまではいいだろう。だがそこのフォルンとか言うヤツが言った確約とそっちのバカの不始末を取り消すには足りなくないか?それとも貴様にとってラグア様は仕えるに値しないか?答えによっては覚悟しろよ」
「セリー様っ!!」
せっかくまとまりかけていた話を台無しにしようとしているセリーに向かってカティアは叫んだ。
ウリンは静かに、だがしっかりとした言葉で言う。
「ラグア様は仕えるに値しない主人かどうかですか?その様な事はある訳ないではないですか。ですが、ラグア様と現在協力関係にあるエリローズ様は我らドワーフの神、鍛神ドムトル様の怨敵。これ以上は譲れません。私達5王は…いえ、そこの売国奴は別として、ドムトル様の子供達として怨敵の配下に下るなどあってはなりません。もしそれ以上を望むなら…」
ウリンはそこで言葉を切りセリーを見据える。
その瞬間感じられる威圧感は圧倒的だった。
そのオーラはセリーが隠しもしないで垂れ流してるオーラを超える。
フォルンはその雰囲気に圧倒されて思考停止状態から回復した。
長い時を共に過ごしてきたがここまでのウリンははじめて見る。
全身に埋め込んだ王級アンドロイド…
いったいいくつあるのかはわからないが、彼女の力はそれだけでは説明がつかない。
まさか、帝級?
神魔大戦時には紙くずの様に殺されたと言われているが、一説には惑星を単体で破壊できる化け物と言われている。
そこまでの存在に至っていると言うのだろうか!?
ウリンはその先の言葉を続ける。
「まさか私ごとき脆弱な存在が、ラグア様やエリローズ様に一矢報いる事ができるなんて思っていませんが、曲げられない私達の矜持の為この惑星と運命を共にするのも私の選択肢の1つだと言うこともお忘れなく?」
化け物だ。
セリーは一瞬で目の前の相手の警戒度を引き上げた。
この圧倒的な雰囲気はまるでラグア様に接している様…
コイツは危険だ。
いずれラグア様の障害となるかも知れない。
だが、自分では到底太刀打ちできない。
「セルナースっ!!」
セリーはこの場で唯一状況を打破できそうな者の名前を呼ぶが…
「私は今回は部外者よ?今この瞬間本当にこの惑星を破壊しようとしているならともかく、あなたが殺されようとどうなろうが、私は動くつもりはないわ。勘違いしないで。私をこの交渉の最終手段にしようとした時点であなたの負けね」
セルナースは冷たく言った。
セリーは下唇を噛みしめる。
こうしてドワーフ国家ドーラス王国とエルライド王国の同盟は結ばれ、カティアは5王の1人として迎えられる事となった。
本人の意思とは関係なしに、勝手に話が進み化け物の巣に放り込まれたカティアはしばらく理解が追いつかずに呆然としているのだった。
カティアの思考が回復したのはエルライド王国に帰ってからの話である。




