第123話ドワーフ国家ドーラス王国4
カティア達3人は応接室に取り残されてしまった。
カティアは言う。
「セリー様。さすがにあの名乗り方は…」
「申し訳ございません。ですがこの方が交渉がスムーズに行くかと?国費兼、特別王族に対し失態を犯したという事実がむこうの負い目となり、こちらに有利な形に交渉が進められます」
なるほど、今度は考えなしの発言ではなかったのか。
セリーはラグアの他の配下同様かなり短気だが、頭自体は悪くない。
これはカティアがセリーにくだした評価だ。
セルナース様はと…
カティアはセルナースの方を見ると先程から出されたお茶菓子と紅茶を楽しんでいる。
こちらはそもそも参加するつもりがないようだ。
〜〜〜
その頃の5王達〜
「何?バカなの?あんなバカを差し向けるなんて!?」
ウリン・ドーラスはヒステリック気味に言った。
「いやさ、俺だってあそこまでバカとは…」
エルク・ドーラスは言い訳気味に言った。
「とーにーかーくー、エルクのせいでこの国は壊滅の危機なんだけど、どーするの?」
そう言ったのはキャリー・ドーラスだ。
「まあ、そうエルクを責めるな。採用した儂にも責任はあるしな」
ダスカー・ドーラスは言った。
「まあ、子供のやった事は大人が責任を取るべきだな。ここは我が出よう」
フォルン・ドーラスは言った。
「フォルンじいさん、俺はもう子供じゃ…」
「配下の面倒すら見れずに結果化け物の機嫌を損ねただけ。これが子供じゃないと言うか?」
「うっ…」
エルクは不満気に言ったが、フォルンは静かに言った。
「話はあとだ。我は行く。あとは頼んだぞダスカー?」
「おい、フォルンまさか死ぬ気じゃ?」
ダスカーはフォルンを止めようとしたが、フォルンは出て行ってしまった。
大会議場は重苦しい空気に包まれた。
〜〜〜
フォルン・ドーラスは地上へと向かう。
普通に行ったら地上に出るまで5時間はかかる。
これ以上客人を待たせて更に機嫌を損ねれば、最悪この国ごと地図から消える。
リリスの作った研究所のメインコンピュータが出した計算によると、圧倒的にデータが足りないが、今現在来ているメンバーでさえ勝率は皆無。
ラグア達の本隊まで攻め込んできた日には、もはや絶無だろう。
そんな化け物達をこれ以上不機嫌にさせる訳にいかない。
固有スキル、空間収納に突っ込んだ王級アンドロイドは3体。
まずは王級スキル、戒めの王を使う。
地下エリアは本来侵入者を防ぐ為に王級のまでのスキルの転移禁止エリアだ。
普段は有能な設備だが、今は邪魔だ。
ちなみに戒めの王で解除できるのは王級までだ。
次に別のアンドロイドの王級スキル、空間王で転移を開始する。
例え我が命を差し出してでも国を守らなければ…
それが5王としての最後の仕事だ。
フォルン・ドーラスはそう覚悟を決めるのだった。




